2011年1月14日金曜日

もしソーシャルメディアを使って選挙をしたら【金光】

もしソーシャルメディアを使って選挙をしたら 
吉田、大関、齋藤、岡本 著

論文、と聞くと身構えてしまうけれど、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら』から案を得た、この作品は一気に読み切ってしまった。特に最初のつかみ方は小説か!と思うほどぐっとひきこむ滑り出しだった。

中に登場するソーシャルメディアも、最初は日本ではおなじみYahoo!知恵袋から始まり、mixi,twitter,2ch,skype,ustreamと幅広く網羅している。自分たちが普段からよく使う、なじみのあるサービスを当たり前のものととらえず「これを選挙活動に使うにはどうすればいいか?」「何をどこで使うのが国民にとっても候補者にとっても便利なのか」という視点から改めて見直し、丁寧に説明されているところが本論文のもっともすぐれたところだと思う。mixiを使う人、twitterの公式アカウントに日ごろから触れている当事者の肌感覚を反映させた文献は少ないと思うので、”社会を新しい視点で斬りこむ”ことができた論文ではないだろうか。

論文前半に比べると後半はややデータが少なく、推測に頼る展開の印象を受けた。なぜ2chではあまりうまくいかなかったのか、政治的話題であまり盛り上がらなかったという他の前例があるのか、もし参考にした例があるなら挙げて欲しいところだった。
また全体的に読みやすいがゆえにどこまでが話の展開でどこが考察の部分なのかが分かりづらいところがあった。まずは読んでもらうための工夫であり、筆者の意図的ではあるものの、章が変わるごとにその章のまとめをつけたら、より学術性も高く調べた内容が読み手に伝わるものになったのではないかと感じた。
もう少し欲を言えば、選挙をしたら の次は~政治活動をしたら(現役政治家がまだ気づいていないソーシャルメディアの使い方)編~を読んでみたい。幸泉新三郎のその後の活躍が気になる。

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