2011年1月5日水曜日

【冬休みホンヨミ!①】犠牲【金光】

『犠牲』柳田邦男

看護医療学部の友人に薦められて読んだ。
作家柳田邦男氏が自身の長男が精神病に苦しみ自ら命を絶ってしまった後、脳死状態になり、第三者ではない立場で脳死と向き合った筆者の記録だ。

精神病、自死、脳死、どれも今まで自分の日常とは遠く感じていたことだっただけに、この本を読んだときにその内容が持つ重い力に困惑してしまった。

文字を適当に選んで感想など書ける内容ではないが、うまくまとまらない。
息子が植物状態になるかもしれないと宣告されたときに「科学知識による自己コントロール」を心がけようとした、ある意味冷静な部分と、だからこそ読み手に伝わってきた極度の衝撃。
医師や看護師の繊細な気配りにどれだけ家族は心救われるか、そしてそれほど敏感になっている家族の精神状態。
家族二人がつらい状況にあり長男がなくなってしまったあと、また自身の活動を始めた筆者を奮いたたせた力。
克明に重みを伝える”文字”をつかさどることのできる人の力。
自分が、家族が脳死になったら? 臓器提供にyesと言えるのか。言いたいのか。

この本は年末から年始にかけて読んだ。
その直後に新しい保険証を渡された。裏には臓器提供意思の欄があった。
この本のおかげで、考えるきっかけとなった。

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