2011年1月12日水曜日

【ホンヨミ!0114】OGILVY ON ADVERTISING【高橋】

『OGILVY ON ADVERTISING』 Vintage Books

David Ogilvy (1911-1999)... 「広告の父」と称され、広告のモラルと創造性の領域を広げた人物として知られるイギリス出身の広告界の重鎮。

①Positioning
Ogilvyにとって、宣伝するもののpositioningを決める基準は"what the product does, and who is it for"であるという。例えば、彼がDoveの石鹸の宣伝に携わったとき、働く汚れた男性が手を洗うときに使うものとしてではなく、乾燥肌の女性がお風呂で使う石鹸というpositioningを加えてbrand imageを確立させた。彼にとってbrand imageとはそのもののpersonalityであるという。
金ゼミをブランディングして新入所生にアピールすることに当てはめて考えると、「私たちが何をして、何のためにいるのか」を明確にして考えることだ。根幹をなすべき初歩的なことかもしれないが、この軸がぶれたり定まっていなかったりすると伝えたいターゲットに半分も伝わらないのだろう。

②Big idea
どうやったらデカいアイディアって考え付くのか?そもそも「デカいアイディア」って何?Ogilvyは考えた。それが以下の5項目だ。

1. 初めて見たときに息をのんだか?
2. 自分で考え付くことができたらなぁと願ってしまうほどのものか?
3. ユニークか?
4. 完全の域に達するほどのものか?
5. 30年間使われるものか? (実際は5年続くものさえわずかなのは承知の上で)

この項目すべてがみたされて初めてすごいアイディアになるのだと彼はいう。身の周りに溢れている広告。この条件に当てはまるものは考えられるだろうか。
*ちなみにOgilvyの時代では日本の広告はまったくと言っていいほど世界に知られていない。アジアで唯一有力視されていたのは中国だった。

③Marketing in recession
不況になると即座に削減されがちな広告費。しかしOgilvyはそういった浅はかな行為に警鐘を鳴らしている。1922-1977間の景気後退のデータが載せられていて、広告費を削減しなかったところは不況を脱した後好調になったが、広告費を削減したとこは低い利益しか上げられなかったという。現代に比べてデータが古く、ネット社会ではなかった点は当時とまったく違うので参考にできるかは疑問が残るものの、企業が安易に広告費を削減してしまうのも気になる点だ。
本著で使われていた例として世界第二次大戦下のUnileverについてだ。当時イギリス政府はマーガリンをブランドの名前を用いて売ることを禁止していた中、Unileverはたとえ店舗に自身のマーガリンが置かれていない時でも自身のブランドを堅持して宣伝し続けた。戦後ブランドが復興した時、Unileverがトップに君臨したのだという。

今も尚続いている企業も数多く載っていて非常に面白かった。広告における女性の用いられ方の変遷にも言及されているため、初期の頃の写真はなかなかきわどい写真が多い。そう、色々な国の昔の広告・ポスターの写真がカラーで多く掲載されているのも本書の特徴で、読んでいて楽しいのだ。

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