2011年1月4日火曜日

【冬休みホンヨミ!0107①】こころの格差社会【高橋】

『こころの格差社会―ぬけがけと嫉妬の現代日本人』 海原純子(著)

①日本社会の伝統的な文化的な思考回路
「場の中に入る」「和を乱さない」という原則が日本社会の文化的な思考回路で、私たちは外されることは怖い、生きていけないという刷り込みがされてしまっている。それは、日本の学校教育では「和を乱さないこと」「協調性があること」は「いい子」だという評価を受け、「その社会」に属し、場の一員として突出しないことが重要視されがちだったからだ。しかし一方で、「自主性をもち個性も大切に」とも叫ばれ、個性を表現するも、学校では和が求められるという矛盾を孕んでしまっている。学校では個としてではなく場の論理が求められ、波風を立てないように過ごすこととなる。
集団行動が多い日本では、やはり団体・組織としての和を重んじる傾向が強いと感じていて、それが昨今では個性の尊重にも目を向けだしたものの、現実的には未だに個性よりも協調性の方がやはり重んじられていると感じた。

②目に見えないあげ底
所謂勝ち組には負け組にはない「あげ底」が存在しているという。試験は平等に受けられる、機会は平等に開かれている、ように見える。本当にそうだろうか?現実には育ってきた環境の格差、親の収入による教育格差など、格差が勝ち組の財産になってしまっているのに勝ち組の人間は気付かない。だからこそ勝ち組の人間であればあるほど、実績をあげられない者は努力が足りない者としか思えないのだと筆者は云う。勝ち組と負け組とのコミュニケーション不全を引き起こし、さらなる格差を助長させてしまっている。
コミュニケーション不全を改善するには、勝ち組の気づきが不可欠で、自分たちの持ち合わせた目に見えぬ財産に気付く必要がある。「自分の実力」と信じている実力の中に恵まれた条件があったことに気付き、自らの成功を謙虚に受け止めるといった自己肯定感をもった謙虚さが必要不可欠なのだ。そのためにも相手の気持ちや意見を聞く姿勢が一層求められるのだ。

③見えない天井
見えないあげ底がある一方で、見えない天井を自分でつくってしまっている人もいる。「できない」「苦手」という言葉を口にすると自分の可能性はブロックされる。自分を遮って伸びられなくなっている透明な天井を破る必要がある。一度の失敗を一般化してすべてそれが苦手だとしてしまう一般化思考にも注意が必要だ。
負の言葉を口にすべきではない、というのは自分の可能性を自分で潰すことになるからだ。家には天井があるが、外には天井なんてない。一歩踏み出す勇気が自分を無限の可能性へと誘う。

0 件のコメント:

コメントを投稿