2010年12月10日金曜日

【ホンヨミ!1210①】誰がテレビをつまらなくしたのか【長澤】

『誰がテレビをつまらなくしたのか』 立元幸治 PHP新書

インターネットを利用する人が増える一方で、テレビの視聴時間が減ってきている。
原因は“テレビがつまらないから”だろうか?
そうだとしたら、何故つまらなくなったのだろうか?

この著書は初版が2005年なので、過去から今現在を未来として予測した本である。

確かに、私も昔に比べてテレビを見なくなった。
もともとテレビをそれほど見ない家庭で育ったが、それにしても小さい頃はアニメやNHK教育テレビなどを見ていた。
最近では、1日に30分もテレビを見ない。
私がテレビを見ない理由としては、“面白いと思わない”というのが一番だ。
また毎日チャンネルを回してみても、同じような番組ばかりであると感じてしまうからだ。
同じようなタレントや芸人が出てきて、騒いでいるようなイメージである。

この著書でも「テレビと品性」の問題が取り上げられている。
お笑い番組や大食い番組のような、品性の無い番組が増えているのではないか。
最近では食べ物を粗末にしてはいけない、というところから大食い番組はかなり少なくなった。

また、テレビを見ている人に「感動」や「面白さ」を押しつけているようにも感じる。
視聴者よりも出演者が楽しんでいるのではないか。
出演者たちが楽しそうにわいわい騒いでいるが、見ている側としては、何が面白いのか全く伝わってこない。

この著書に掲載されている視聴者の声にこんなものがあった。
「かつてNHKは、私にとって信頼であり、感動であり、安らぎであった。正しい日本語で、確かな情報源で届くニュース。静かで感動的なドラマ。淡々と描くドキュメンタリー。押しつけがましくない娯楽番組。どれも余計な演出がなく安心して見られた。全分野の番組に品格があったのだ」
私もまさしく同じことを感じていた。
騒がしく品の無い民放の番組に比べて、NHKは安心して見ることが出来る。
だが、そのNHKまでもが最近では民放化してきているように感じられる。

どんどんテレビを見る人が減ってきている中、このようなテレビ番組の質の低下・マンネリ化が進めば、より一層視聴者は減るだろう。
視聴者のテレビ離れを防ぐためには、新たな技術を導入することも大切かも知れないが、まずは番組の質の向上・多様化を考えるべきではないだろうか。
もし私がテレビ局の職員だったら、少なくともそこから手をつけるだろう。

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