2010年11月8日月曜日

【ホンヨミ!】職業としての学問【金光】

『職業としての学問』 マックスウェーバー

今から約100年前に活躍したドイツの経済学者マックスウェーバーが、同名の講演会をしたときの原稿を書籍化した作品。
学問を教えることを職業とする教授(先生)についてを中心に書かれていた。

ふとした瞬間の「思いつき」が研究の大きな発見に結びつくこともある。そしてそれは運のように見えるけれども、これが備わっているか否かはその人がたとえ学者以外の職業についたとしても同じように発揮される。という内容は印象的だ。
運に見えて、運ではなく自分で引き寄せているもの。それは俗人から見ると理解できないほどそのことに没頭した結果に現れるもの、だという。

今の世界は未開社会に比べて進んでいると見えてそうでもない。今は遠くに行きたければ電車に乗れる。でも、その電車がどういう仕組みで動いているのか説明できる人は少ない。日々の生活に欠かせない貨幣の役割も。自分の生活条件に関する一般知識を持ち合わせていないという意味では進んているとは言い切れないのである。

私はこの傾向はこれからもどんどん進んでいくと思った。以前Googleについての本を読んだときに感じたのは、一握りの優れた頭脳を持った人がそのほか大半の人の頭脳をますます働かせなくても生活できるような便利さを生んでしまうのだ、と。

マックスウェーバーは、優れた教授は教壇という場で自分の意見や見解を述べるのではなく、聞いている者に自己とは違う考え方の存在を承認させること、と述べている。盲目的にああるものを信じ、頼り切るのではなく、自己と違う他者の存在や考え方を認めること、そしてそのためによく頭を使って考えること、をやっていこうと感じた。

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