2010年11月15日月曜日

【ホンヨミ!1115②】ハーバードからの贈り物【斎藤】

ハーバードビジネススクールでは卒業生に向けて、最後の授業で教授からメッセージを送るのが恒例となっており、そのはなしこそハーバードビジネススクールの神髄と言われものを書籍化したものだ。これから社会にでていく世界一のエリート達に向けられたメッセージは意外にも難しい話ではなく、人生をどういきるかという温かい内容のものである。各話の内容については本書で実際に読んでもらうのが良いと思うので、教授達の人生観、話術から気になった点をピックアップして紹介する。

①人生から学ぶ
ハーバードと言えば世界最高学府であるが、本書に登場する教授の多くは学問の分野ばかりでなく人間的にも豊かな人が多い。学問を離れた人生経験こそが、自分の価値観を形成するのだという至極当たり前のことに気づかされた。そういった価値観をもとに学問を活かして社会に貢献するのだと思う。例えば、ジャイ・ジャイクマイという製造科学を専門にする教授は登山家でもあるのだが、ヒマラヤにアタックした際に生死をさまよった。それによって、自分の境遇に感謝すること、人生における使命を見つけた。転落事故を期に人間的にはさらなる高見に昇ることができたのだ。やはり、学問だけでは人間的につまらないと思う。それをハーバードのエリート達に向けて言っているのだから一層説得力がある。

②人に伝えるために
世界一頭の良い生徒達に話すからといって、けっして難しい言葉を使っている訳ではない。人生の中で自分が感じた事を、具体的なエピソードを交えて伝えている。相手を納得させるだけの完璧な論理を組み立てることももちろん重要だが、それ以上に自分自身が何を感じて、そう思ったのか丁寧に言葉にすることが相手の共感を生むのだろう。例えば就職活動などで、真面目になりすぎて志望動機などで堅い意見しか言わなくなる人がいるが、結局のところ人の心を動かすのは何だろうかという大事な事が書いてあると思う。

③肩の力を抜く
エリートとしての道を歩みつつけなければならないというプレッシャーがハーバードビジネススクールの卒業生には大きくのしかかるだろうが、そのプレッシャに惑わされることなく人間として豊かな人生を送るためのヒントがある。例えば、鏡のまえに立って自分の目を見つめ、何年後に環境が大きく変わっても、もう一度鏡の前に立っている人間は自分自身でしか無い事を確認することがあげられる。ほかにも、ある分野で挫折した教授の話があったが、その教授は挫折を乗り越えて、今自分にできることを見つけた。通常だとこれまで培ってきたものが崩れてしまったと考えがちだが、柔軟に自分の適正を見極めてつぎの選択をした。多くの教授に通じるのは物事を白か黒かで考えずに、つまり結果だけではなく何故その思考におちいったのか過程を重視していることも印象に残った。

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