2010年11月15日月曜日

【1112ホンヨミ】人はなぜ形のないものを買うのか【栫井】

形の無いモノを売る。ここでは特にデジタルの娯楽コンテンツについて言及されている。
どうしてDeNAがあんなに収益を得ているのか?疑問に思ったことがあることだろう。(図を参照)
本書は2008年に書かれたものだが、当時よりもデジタルコンテンツが世の中に及ぼす影響は限りなく増大している。どうしたら売れるのか。お金を出してしまうのか。

- 価値分析
形の無いものは、普通に我々が購入する形有るもの(食べ物然り文房具然り)に比べて、価値の在り方が見えにくい。価値発生の流れを従来とは全く異なるやり方で捉える必要がある。
今までならば財務表を見ればわかった商品価値の変遷(図を参照)ではなく、商品にまつわる全体の中で、どう価値が連鎖していくかを見ていかねばならない。
デジタルの娯楽コンテンツに含まれる価値は、
・新規性
・コミュニティ性
・UGC(創造性の発揮)
・利便性
が挙げられる。効用の中でも、より人間の感情部分・生理部分に迫る価値が重要になることがわかる。
例えばコミュニティ性。リアルでは欠かすことの出来ない「社会性:ソーシャル性」を取り入れたことで、facebookやmixiのアプリは流行している。みんなでやっている感覚・自分の居場所を得る感覚は、現実世界ではとっくに当たり前になっていた。これを新しくバーチャルの世界に取り入れることで、新しい価値が生まれる。

- 時間軸の見直し
従来の商品のライフサイクルとデジタルコンテンツのライフサイクルは違う。価値連鎖が起こることで、従来とは関連要素の数が違うのだから当然だ。
より人間の感情部分・生理部分に迫る価値は、その形成のされ具合によって全く異なる効用を生み出す。例えばコミュニティ性は、使い初めの動機としては優秀だが、その後人間関係が複雑になるにつれ、柵にもなりかねない。mixi疲れと呼ばれる現象もその一つだ。そのとき、コミュニティ性を一番に押し出していては、顧客は離れてしまう。
デジタルコンテンツの価値連鎖は刻一刻と変化していく。その変化にキャッチアップし、その都度その顧客に合ったコンテンツを提供することが求められる。

- 人間中心設計
デジタルコンテンツを売るためには、実は人間中心設計がアナログコンテンツよりも重要になってくるのではないかと思った。消費者の「主観」という目で見えない部分をどう設計していくのか。
今までよりも顧客に迫り、彼らの感情の機微を追い、何が彼らを駆り立てるのかをきちんと理解する必要が求められている。

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