2010年11月14日日曜日

[1112ホンヨミ!②]テレビ進化論[矢部]

テレビ進化論 映像ビジネス覇権のゆくえ 境 真良(著)

 これから、テレビが二つの側面で進化を遂げると筆者は云う。

①次のテレビ
 コンテンツそのものは変わらず、ただ視聴方法が変わるという変化が起きるということ。次のテレビというのは、単にコンテンツのためのメディアにとどまらず、マッチング技術と個人情報ビジネスという二つの面で広大な情報ビジネスの一部として機能し始めるのだ。しかしテレビ局の中で行われる仕事の在り方は、さほど変わらない。つまりテレビ局の番組編成プロデュース作業は残る。変わるのはそれを取り巻くステイクホルダーの広告代理店や金融機関であろう。とはいえ、結局コンテンツはあらゆる機器と連動しながら、その奥で動く巨大な情報データベースによって価値が再測定されるわけである。そこにコンテンツを支えるクリエイター達が好奇心、野心、才能を輝かせながら関わり、新たなコンテンツが生まれるのだ。それを②で述べる。

②テレビの次
 コンテンツそのものが私たちの創造力によって変化するということ。それを実現するためには、法技術的な面で3つ、政府の積極的な対応が求められるのである。1つ目は著作権法上の同一性保持権の取り扱いを明確化すること。2つ目はコンテンツの保護対象、単位をはっきり決めること。3つ目が個人情報の利用の範囲を明確にすることである。本当のことを言えば、政府がやらなくてもメディア産業群が主導となってルールの構築に取りかかればよいのだが、そのような議論をしていたのでは、先に進まないのである。その早い解決口として、力を持つ政府が一助してみても良いのではないのかということである。

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