2010年11月7日日曜日

[1105ホンヨミ!①]高学歴ワーキングプア[矢部]

高学歴ワーキングプア フリーター生産工場としての大学院 水月 昭道(著)

利他の精神
 私の好きな言葉である。この本に関しての内容はタイトルの通りでその最後を締めくくる言葉としてこれが使われていた。本の内容としては、高学歴ワーキングプアというのは、利他の精神を失い、自らが生き延びることだけを最優先した「経営優先志向」を学校法人が選択した結果、必然的に生み出された産物であるということだ。日本社会に閉塞感が漂い始めている今、自らが生きることで精一杯であるかのように見える。しかし、学校はそうなってはならない。なぜなら学校は明るい未来を実現し得る可能性を持つ人材を輩出する場であるからだ。日本の閉塞感を打破できる人材を生み出すのは学校以外ないのである。慈愛の富んだ社会の方が良い。弱肉強食の熾烈な殺伐とした競争社会は悲しい。自分の利益だけに固執するような学校法人は不適切だ。その被害者となる高学歴ワーキングプアは何とも言えない状況である。日本の成熟社会においてのnext societyは知識社会である。サービス業だけでなく、農業、製造業でも最先端の付加価値のある製品やサービスを提供しなければ、未来はない。そのような意味でも高等教育の充実という施策は間違っていない。BRICsやVISTAには負けていられない。そのためにもこれから社会還元できる社会的利益のあるコンセプトをもったものが他を上回るであろう。

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