2010年11月3日水曜日

【ホンヨミ!1029②】悩む力【高橋】

『悩む力』 姜尚中(著)

「悩むことは良い。しかし迷うな。」
…じゃあ悩むってどんなこと?ということで読んでみた。

<think と know>
情報通は知性なのか?たしかにたくさんの情報が頭に入っていて知っているのは尊敬すべきことだ。しかし、果たして知っているということ自体が知性なのだろうか。
know=information=情報通 ≠ think=intelligence=知性
本著では以上のように述べられている。
情報化社会でネット上であらゆる情報を簡単に得ることができる。与えられた情報だけを鵜呑みにしてただ「知っている」状態。話題がわかるのは素晴らしいことだし、引き出しはたくさんあるにこしたことはない。しかし、本質を知らなかったり、そこから発展させて自分の中に取り込んで考えを発展させたり応用させる力をもたなければただの「知ってるつもり」もしくは「知ったかぶり」になってしまう。
思考力があるかないかで区別できる、小さいようで大きな違いだとハッとさせられた。

<なぜ働くのか>
安直に「お金のため!」と考えていた私だが、突き詰めると深く、コミュニケーションに通ずるものだった。著者曰く、人が働かなければならない理由は「他者からのアテンション」と「他者へのアテンション」が密接に関係しているという。つまり、見知らぬ人が混在する社会で自分の存在を他者から認めてもらうために人は働くのだという。一生遊べるだけのお金がある、食いっぱぐれる心配はないからといって働くのを辞める人はそういないはずだ。何かしら自分の存在理由を確認したくて、他者から存在を認めてほしくて働く。他者から認められることで安心感を得て、自分に自信が持てる。なるほど深い、と思った箇所だった。

<つながり>
人とのつながり方を考えることで「生」と「死」についても考えることに繋がると著者は説いている。相手の存在を認め、自分の存在を認めてもらう。そうすることで自分が自分として生きていける。
「自由」という言葉が先走りしてしまっている現代、自由とされるからこそ生まれる苦悩や孤独感、見えない閉塞感…。たしかに人との付き合い方も自由、死を選ぶのもその人の自由ともいえるが、それは自分以外のことを一切考えていないエゴな考え方に他ならない。人間誰しも一人で生きれるわけがなく、色んな人の力を借りて成長してきたにも関わらず、他者とのつながりを軽視する傾向にあるように思う。「ゆるい」繋がりに危機感を抱かざるを得ない。私自身たしかに人付き合いの煩わしさを感じたりもするし、自分の殻にこもったら楽なのかな、と思うこともあるが、ふと人生振り返ってみたら自分一人の力で成し遂げたことって何一つないんじゃないかなと思う。周りの配慮や刺激があってこその成長だと思うし、もっともっと他人とのつながりを大切にしたいと思った。

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