2010年10月10日日曜日

ホンヨミ① 「社会調査」のウソ リサーチ・リテラシーのすすめ

「社会調査」のウソ リサーチ・リテラシーのすすめ 谷岡一郎著

①データに騙されるべからず
帯に書いてある言葉だけでもかなりインパクト大である。
「データに騙されるな。この国の調査の過半数はゴミである。」
始めは、注目集めのためにセンセーショナルに書いたのでは?と疑いを持つかもしれない。しかしながら、本書は実際に行われた調査を用いて的確に批判を展開している、実に奥の深い著書だ。
その一例を挙げてみたい。

元大統領のうち一番人気があるのはカーター氏で、在職時に高人気を維持し続けたレーガン前大統領は“並”に転落。これは米紙ロサンゼルスタイムスでの世論調査ででた結果である。
元大統領のうち誰を支持するか、という問いに対して35%がカーター氏、22%がレーガン氏、20%がニクソン氏、10%がフォード氏だったという。(本文要約)

ここでどこがおかしいか分かるだろうか?この4人の前大統領のうち、カーター氏だけが民主党で、残りの3人は共和党だったのである。仮に大衆の4割が共和党、4割が民主党、2割が無党派だとすると、共和党支持者の表は割れることになるが、民主党側にたっている人々はカーター氏しか選択肢がなかったのである。つまりカーター氏が一位になるのは自明の理だったのである。(本文要約)

なるほど。帯の言葉ははったりだろうと思っていた故に、この実例を挙げた批判は確かに一理あると思ったと同時に目から鱗だった。
このようにメディアによって読者が説得されてしまっている統計は数多い。
我々はどのようにしてこれらを識別すべきか・・・・改めて考えさせられた。

②情報のゴミとその蔓延
現代社会は、情報という名のゴミが蔓延する時代にある。
それらのゴミが作られるプロセスは多種多様であり、その理由や意図も多岐にわたる。
本書では、そのゴミをどう見分けるのか、また、自身もゴミを作ってしまうことにならないようその方法論について後半ではふれられている。

0 件のコメント:

コメントを投稿