ここ数日の間、日中関係問題は非常に話題になっていたので関心を持って読み進めることができました。機会があれば是非読んでください。
①中国の実態とは
日本ではたびたび中国で起こる環境、食品、偽造に関する問題などマイナスイメージを持つ報道に触れます。僕自身その度に、中国に対する偏見を抱いてきました。しかし、私達日本人がいくら中国のことについて知っても、本当の意味で完全に彼らを知り尽くすことはできないと思います。彼らが見せる姿はあくまでも断片的なものであり、それらを見て中国人はこういう人間だと判断するのは拙速です。あくまでも日本人にとっての中国人像が浮かび上がってくるだけなのだと思います。歴史、文化、風土をはじめ異なる様々な環境のもとで生まれ育ったのですから、考え方に差異がある事は当然の事として、中国人はこうだと決めつけずに接することが日本と中国それぞれの人々にとってプラスになるのだと思います。この事は今夏インドに行った際にも強く感じました。日本以外の国を初めて訪れるときには誰もが、あらゆる場面で価値観、生活環境、文化などの違いに直面して戸惑うと思います。その時、そういった違いに対して嫌悪感を抱きがちです。違いを受け入れるよりは拒否する方が容易だからです。それも仕方ない事ですが簡単に相手の国に対する答えを出さずに、よくわからないけれどもとりあえず答えを出すのを保留しようと立ち止まってみることができたら良いのではないでしょうか。
②尖閣諸島問題
現在、日中関係は緊張状態にあるとされています。こういった、問題に対してどのようにして対応すべきかはテレビなどでも議論されています。先ほど答えを出すのを保留すると言いましたが、こういった事は必ずしも政治問題では当てはまらないと思います。後手後手に回ることで、自国の利益を著しく損なう可能性があるからです。しかし、政治家に求められる判断力や決断力というものはあくまでも外交上のものであり、彼らも国を代表する者の役割としてそれを果たしているにすぎません。このように書くと当事者意識が欠如しているとの指摘を受けるかもしれませんが、僕が思うのはテレビ等の論調に導かれるようにして中国に対する答えを簡単に出してしまう事は政治家でない一人間としては拙速だということです。
③メディアのバランス感覚
中国で反日活動が行われていると日本のメディアを通じて報道されることがよくあります。そういった報道に触れるたびに、嫌悪感を抱くと同時に悲しくもなります。しかし、その反日活動は中国に実際に住んでいる人々でさえ気づかない程度の規模であることが多々あるそうです。多くの中国人はそういった活動を冷静に見ており、その事実は報道されずに反日活動が起こったことだけが大きくピックアップされるようです。それは考えてみれば当たり前ですが、日本人の私たちとしては全ての中国人が反日であるような錯覚を起こしてしまいます。もちろん中国では民間の日中交流もさかんに行われいますが、そういった地道な活動よりも反日活動の方がインパクトが強いためマイナス面に目がいきがちです。
本書のなかで印象的だった分析を紹介します。10あった事をそれぞれの規模に応じて報道のスペースを割く事は必ずしも適切ではなく、全体から見ればたった1しか割合を占めない事象であってもそれは普段は表面にでてこない社会の根底にあるものが噴出したものであるなら注目に値するというものでした。バランスのある報道は非常に難しいものではありますが、日本でなされている中国での反日活動の報道の例のようにある事象を大きく取り上げることは必ずしも否定できないとするこの分析はとても納得できました。要は私たち自身が冷静にそういった報道を受け取めることが重要なのだと思います。
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