2010年10月31日日曜日

【ホンヨミ!1029①】グーグルが本を殺す/竹内一正著【斎藤】

知識の補完の意味を込めて読みましたが、ほとんどゼミで扱ったテーマばかりだったので復習がメインとなってしまいました。

①グーグルと新聞
先週のNCテーマでした。振り返ってみたいです。グーグルニュースの仕組みは検索エンジンを駆使して新聞社のニュース見出しを集めてまとめ、新聞社のサイトにリンクさせる。つまり、新聞情報のただとり。当初は新聞社側の反発があったもの、グーグルの集客効果に気づき態度が軟化した。その際の記事の売り方であるが、基本的には記事を機械的に並べるだけであり、新聞各社の編集Jという演出は切り捨てられた。その効果として本書であげられている例を紹介する。
海外のグーグルニュースのでは、CNNの記事タイトルもアルジャーらの記事タイトルも一緒に並ぶため右寄り左寄りなど各社の論点にあわせた意図どおりにユーザーが記事を読まなくなる。つまり、イラクで米軍がテロリストの拠点を攻撃して成果を上げたと報じる一方で、アルジャーらは米軍がイラクの村を誤爆と報じる。これを並列することで、ユーザーは自分の関心のあるものだけをクリックする事になり、新聞社側の意図が排除される。逆にグーグル側の意図による介入がされる危険もあるだろうと思う。

②グーグルは盤石か
キャリアの垂直統合型で入り込む余地がない携帯電話分野が弱いとされるグーグルもアンドロイドOSを開発し、携帯をパソコンのようにオープンなビジネスに変換して広告を打てるようにしたいという野心をもつなど、これまで弱いとされていた分野での競争力を高めようとしている。かといってその地位は盤石ではなくかつて真空管がトランジスタにとって代わったように、大きな技術の変換があれば衰退するかもしれない。真空管を極めてもトランジスタには行き着かないのだというノーベル賞学者の江崎玲於奈氏の言葉が印象的である。同様に新しい検索アルゴリズムが生まれれば現在の地位が一転するかもしれない。そのような企業が世界中の情報を統合しようとしていることを認めてよいのか。考えさせられる。

③アナログ的手段
グーグルマップの情報取得に関しても人間が実際に足を使うなど泥臭い部分を持つグーグルであるが、それはコンテンツ制作段階においても同様だと思う。例えば最近NCで扱った電子書籍で考えるとグーグルはコンテンツを提供する場を設けるだけで実際の制作段階は出版社に任せきりである。出版社が販売するものをデジタル化することに優れているだけだ。企画、作家の発掘などこれは売れるという匂いを嗅ぎ取るのはやはり人間にしか不可能な事だ。今後の出版業界は制作に特化して販売などの面ではグーグルと利益を分け合っても良いと思う。もちろん、テレビ局と映像制作会社のようなアンバランスな力関係にならぬような交渉、訴訟は行って行くべきだ。

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