2010年10月30日土曜日

【ホンヨミ!1029】情報デザインの教室【栫井】

情報デザインの教室

情報デザインとは、
・ネットワーク指向:人・モノ・環境の関係性に着目する
・質的な思想:状況論を用い、物事を全体で捉える
・恊働・学際を重んじる
・デザインシンキングに基づく
設計方法である。
学部ゼミの専門のひとつがデザインシンキングのため、良い復習と発展に繋がる本だった。

・ideaのジャンプ
日常生活をよく観察し、その中からニーズを見つけたり、人々が無意識にやっている動作を捉え、プロダクト・サービスに落とし込むのがデザインだ。
しかし、ただ観察しているだけでは、新しいものはなかなか生まれて来ない。デザインシンキングの落とし穴として、「iPodはユーザー観察からは生まれて来なかった=ユーザーの生活に密着するだけでは、革新的な製品は生み出せない」と言われることがある。
素晴らしいアイデアは、一見突拍子もないところから沸いて出てきたように思える。だが、実際はユーザーを観察して得たものの他に、自分自身の日常生活で蓄積されていった経験が連鎖的に組合わさって作られたものなのだ。
ひとつひとつの関連性を丁寧に見出し、結びつけることでアイデアは面白いものに化ける=ジャンプする。このことを、アブダクションということもある。

・ペルソナストーリー
デザインシンキングでよく登場するのが「ペルソナ」だ。ユーザーをひとり想定し、彼(彼女)の日常を徹底的に洗い出す。どんな性格なのか、どんな問題を抱えているのか、それはどんなところから発生したものなのか。
そしてペルソナがそのプロダクト・サービスを使うことでどのように生活が変わるのか、ストーリーで描き出す。
この手法で、思わぬ関係性や抜け落ちていた視点が発見出来る。

・インタラクション
従来のプロダクトは、デザイナーの思いを中に落とし込んだものであった。
しかし、ユーザーとデザイナーが、インタフェースを介して思いを共有するプロダクト、つまりインタラクティブプロダクトという考え方がある。
ユーザーがついうっかりしてしまう習性をインタフェースに取り込む、ユーザーとデザイナーの恊働作業による開発である。(注意したいのは、巷でよく売られているような「○○×△△のコラボ商品!」とは全く異なる性質を持つことだ)

人・モノ・環境の関係性に着目する、情報デザイン。
異なる何かと組み合わせることで、それ自体ももっと可能性の広がる手法なのではないかと感じている。

0 件のコメント:

コメントを投稿