ITを利用して選挙活動を行う場合に様々な活用方法が考えられるが、その際に公職選挙法に抵触しないように留意する必要がある。例えば選挙期間中のメールマガジンの発行にあたっては政治活動用のものであれば可能であるが、選挙運動の目的では禁じられているという微妙なラインを見極めなければならない。具体的には自分自身の趣味に関するものなどであれば問題が無いとされるが、それでも候補者の名前が目立つように記載した場合は売名行為となり公選法に抵触する。また、選挙期間中にビラの配布が規制されているのと同様に後援団体発行のメルマガであってもメルマガはビラの類と考えられるため配布不可能となる。ここで言うビラとは紙1枚程度のものと定義されるため、規制対象外ののパンフレットに相当するような長い文章のメルマガならば認められるかという問題だが、候補者の指名類推事項等を記載しなければ認められている。しかし、忙しい選挙期間中に違反がどうかの微妙なラインを見極めなければないことは負担、リスクが高いだろう。以上のようにこれまでの選挙活動同様に公選法を意識したIT技術の利用をしなければならない。そこで民主党で公選法の改正によってブログ、ツイッター、メルマガでの選挙活動を全面解禁しようとする動きがある。それによって今後は各政党がネット上で多くの閲覧者を持つブロガー等を擁立するなどの候補者の変化も見られるのではないかと思う。
②電子投票
電子投票では投票用紙が残らないためどの有権者が投票したのかを確認しつつ、誰に対して投票したのかを分からないようにする為の工夫が必要である。仕組みとしては簡単で、大まかに言えば投票場に行って本人確認をした上でタッチパネルを操作するだけである。これによるメリットは開票コストを大きく削減できることがあげられる。また、自筆が困難な障害者であっても簡単に投票でき、書き間違い及び他事記載による無効票をなくす事もできるだろう。もちろん機械トラブルやハッキングなどにより投票が無効になってしまう危険性は否めないが、導入することによって有権者が得る利益は大きいと考えられる。この制度は日本の地方自治体やアメリカなどで既に実施されている。
③在宅でのインターネット投票
投票所に行かなくても自宅から投票することができれば有権者にとっての利便性は非常に高まり、投票率も向上するだろう。しかし、選挙での投票とは第三者の立ち会いのもとで厳重に管理し、投票の秘密を確保して投票の自由という権利を保証している。もし自宅からの投票を認めたならば他人にブラウザの戻るボタンで誰に投票したのかを閲覧されてしまったり、パスワードを盗むことによるなりすましなどセキュリティー面での課題があることは否めない。しかし、インターネット投票が認められれば身体の不自由な人や、現在では投票権を持たない国外居住者の投票も可能になるかもしない。しかし、ネットへのアクセスを持たない人々の投票権を今後も保証する為に投票所での紙による投票方法も維持するとなるとコストが増加することも考えられる。しかし、この点に関しては国会で議論をした上で予算を割きインターネット投票の為の初期インフラを整備する必要があると思う。
ITを活用した選挙とは、これまで守られてきた厳正な選挙活動・投票行為を緩和してより候補者について有権者が知ることができたり、投票行為の敷居を低くするものだと思う。こういった事が進んだ先には若者がもっと楽しく選挙に臨む事ができるようになる社会が実現するのではないかと考える。例えば各大学に投票用のタッチパネル、またはパソコンを設置して学生が投票できるにして、選挙管理委員会の管理のもとで各大学の選挙盛り上げ委員会(仮)の様なものを立ち上げてイベント的に盛り上げることができれば若者の投票意識を高めることができるのではないか。このくらいフランクな提案も国会でされてもいいのではないか。こういった事を可能にする為にも、低コストで投票の管理が行えるIT技術と選挙の融合は必要だと思う。
ITをつかった選挙活動はアメリカが進んでおり、前回の大統領選でのオバマ陣営の活躍など大きな変革がおこった。その様相にかんしては別書”「オバマ」の作り方 怪物・ソーシャルメディアが世界を変える”(ラハフ・ハーフーシュ著)に詳しいので参考にされたい。
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