2010年9月23日木曜日

【夏休み】Tom Kelley@i.school【岸本】

 ものつくり2期の準備をしたり、バンナム進めてたり、コンペ出したり、ライブとかシンポジウムとか行ってたりしたらあっと言う間に夏が終わってしまいました。今までで一番短かったように感じます。
 

 今回は、7月の下旬に東大のi.schoolで行われたIDEOのトム・ケリーによる講演会のメモを共有します。i.schoolは「デザイン思考」というイノベーションメソッドについて実践的に研究をしている東大の中の組織です。また、このi.schoolはスタンフォード大学のd.schoolという組織をモデルにしています。(ここの講師の1人に最近『20歳のときに知っておきたかったこと』で知られるようになったTina Seeligがいます。)ちなみに、講師のトム・ケリーは「デザイン思考」が世に広まるきっかけとなったデザインコンサルティング会社IDEOの役員で、d.schoolの立ち上げにも関わっている方です。


 内容としては前述の『20歳のときに知っておきたかったこと』と被る点も多いですが(そりゃそうだ)、抜群のプレゼンスキルも含め、参考になる点は多々ありました。若干の意訳&英語プレゼンだったのであやふやな点もありますが、参考になれば幸いです。


 プレゼンでは各スライドの上下にうっすらグリッド線みたいなのが引いてあって、とてもすっきりした印象を受けました。↓こんな感じ。



 また、以下の5つに1つ付け加えるなら、「最年少になるべし」でしょうか。以下続くプレゼンの3章にも関連しますが。

 個人的に好きなエピソードで、スティーブ・ジョブズとビル・ゲイツは若い頃から仲良しで、当時どこのデジタル系のカンファレンスとかに行ってもおっさん達ばかりで自分たちは最年少だった。みたいなのがあるのですが、これを真似する感じでやっていくといいかもしれません(笑)。でも、若さは無知がある程度許され、更に好奇心を買われやすい、そのためアドバンテージになりやすいと結構マジで考えています。また、同年代とつるんでも似たり寄ったりの考えになりがちです。だったら年上とつるんでみる方が価値があるんじゃないかなあと。(もうちょっと考えると年上の方も同じような思考をしていれば、最年少が注目されるのも当然かもしれません)

 これは人とつるむ時に限らず、インプット、アウトプット全般においても通じるように思います。「この情報は同世代はつかんでいないだろう」とか「こんな考えは同世代はしないだろう」とか考えてみることですね。そうやって常に最年少を心がけるといいことがあるかもしれません。

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Tom Kelley@i.school

Presentation "Young@Heart"



まくら

- 子供のうちはみんなアーティストだ
 Every child is an artist.(パブロ・ピカソ) 
 Genius is childhood recalled at will.(シャルル・ボードレール)
 
- 国民の平均年齢
 アメリカ:36.7歳 ブラジル:28.6歳 日本:44.2歳

- 全てのアーティストたちはどうなってしまったのか?

- 参考文献…Gordon MacKenzie "Orbiting the Giant Hairball"(未邦訳)

 子どものときは偏見、先入観などが無く、創造性に満ちている。そして途上国の方が平均年齢が低く、創造性で先進国を上回っているという話。国際競争の中で先進国(特に日本)は創造性を高めるために、固定観念に囚われない発想が求められるようになる。



1. Think like a traveler:とにかく固定観念を捨て、新しい視点で世界を見るべし

- 固定観念に囚われないこと
 "The real voyage of discovery consists not in seeking new lands, but in seeing with new eyes."(マルセル・プルースト)

- 15分だけでも文化人類学者のように振る舞う
 何年も働いている駅員は、旅人が改札を通るときに荷物で通りづらいことに気づかない(慣れているから)

- 世の中は、文化人類学的視点があれば完璧にロジカルになる(逆に言えば、現状はこの視点が欠けている)

- Oral Bのケース:歯ブラシのマーケティング
 子どもは普通に歯ブラシを持つと思い、観察したら違っていた。
 →歯ブラシをしっかり握っていて、大人の論理が通じなかった。
 →子ども向けのグリップを開発。



2. Treat life as an experience:何事もどんどん実験して失敗を重ねるべし

- スキーは転ばないと上達しない:スキーのように早く失敗すべし 
 
- 失敗すること=成功への近道
 "I have not failed. I've just found 10000 ways that won't work."(トーマス・エジソン)

- ダイソンの掃除機
 プロトタイプ(試作品)が5000台作られ、現在の形に。

- 参考文献…Henry Petroski "To Engineer Is Human"(邦題:人はだれでもエンジニア―失敗はいかにして成功のもとになるか



3. Nurture a "Growth Mindset":成長意欲を持つべし

- 「知らないこと」より「知っていると思い込むこと」の方が問題
 "It's what you know for sure that just ain't so."(マーク・トウェイン)

- 「先輩」よりも若い

- 見方を変える、危機感を持つ

- 参考文献…Carol S. Dweck "Mindset"(邦題:「やればできる!」の研究―能力を開花させるマインドセットの力



4. Use your whole brain & "Tortoise Mind":柔軟に、じっくり考えるべし

- ボケーっとしたりじっくり考えたりする時間を取る

- 芸術とか色んなものからインスピレーションを得る

参考文献…Daniel Pink "A whole new mind"(邦題:ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代), Guy Claxton "Hare Brain, Tortoise Mind"(未邦訳)



5. Follow your passion:やりたいことをやるべし

- やりたいことをやるべし
 "Do what you love."(フランシス・コッポラ)

- ハリネズミの法則(関連:ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則
  Good at(好きなこと)
 → Born to do(世界で一番になれること)
 → Pay you to do(市場があること)
 この順番で、この3点を兼ね備えた部分で勝負する

- それに加えて…
 人の存在を忘れない(誰に?誰を?誰が?)
 周りの人をリスペクトする

- 遊びと仕事の融合
 The supreme accomplishment is to blur the line between work and play.(アーノルド・トインビー)

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関連
『20歳のときに知っておきたかったこと』(原著)の書評文(昨年度ゼミブログ)
Innovation Weblog - Trends, resources, viewpoints from Chuck Frey at InnovationTools
The Thinking Man's Podcasts: How to Be an Innovator for Life
Think Bulbs: Tom Kelley, IDEO
Entrepreneurness: Inspiration for your Every Day


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9/23 20:58 追記
スタンフォード大のecornerにまんま動画が上がってたので貼っときますね。これ最初に見つけてたら苦労しなかったのに(泣

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