『著作権という魔物』 岩戸佐智夫(著)
1.日本における著作物の扱い
著作物の中でもテレビ番組に着目した。日本のテレビ番組の90%は一度流して終わりだという。自分が観たくても観れない時は事前に録画しないと観ることができない。通信と融合することでそれを解消する仕組みを作ることができると考えられるが、テレビ局は自身が持つ既得権益を手放したくないため、抵抗感を示している。視聴者視点では録画し忘れた時や録画の手間を考えると、自分の空き時間に好きな番組を見れるのは大変便利で効率的だと思うのだが。
2.米国における著作物の扱い
米国では競争的な広告市場があるから通信とネットの融合が世界でも先をいっているという。日本では大手の広告代理店が存在しているため、競争的というよりは独占的に使い形であるところが米国とのそもそもの違いだ。開かれた市場とそうではない市場。これは云うまでもなく一目瞭然であり、「日本もこうしろ」などといった乱暴な言い方は決してできるわけがない。
3.著作権法
日本の著作権法は細かいことを決め過ぎていると本著では議論されている。取り決めは最低限にして、あとはビジネス的な取り決めと秘術的な対応で様々なことを出来るようにしなければならないと知識者な提言している。
私が本書を読んで特に考えさせられたのは、「著作権法を変える」のではなく、「著作権法の上で動く現実をどう変えていくか」を説いていた部分である。私は法が不整備ならどんどん変えたらいいのにもどかしいなぁと思ってしまっていたので、この部分について述べられていたコラムの回が特に印象に残った。一度決めたことを変えて混乱を招くより、その上でどう動くかを私たち自身が考えていく。法を変えるというのを口で言うのは簡単だが、それ相応の副作用を孕んでいることは自明である。
著作権についての制度が未完成な状態でここまできてしまった日本がこれからどういった解決策を打ち出していくのか、その動向に注目していきたいと思った。
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