2010年7月9日金曜日

ホンヨミ②【黄】エネルギーと私達の社会:デンマークに学ぶ成熟社会

エネルギーと私達の社会:デンマークに学ぶ成熟社会
ヨアン.S.ノルゴー著

「デンマークに行ってみたい」、という常日頃の思いから本書をメディアから借りてきたのだがデンマークにおけるエネルギー政策の先進性に非常に驚かされた。また、本書ではその背景も順を追って明快に説明されており、エネルギーについて学べる事はもちろんの事ながら、デンマークの国そのものについても深く考察が可能な書籍だ。
他のデンマークについての本を中途半端に読むより、これをまず読んでみる事を勧めたい。デンマークのいかなる点に学ぶべきなのかがよく見えてくる。もちろん、短所も考察に含めつつ分析されているので、客観的に状況を理解できる。
筆者によると、将来のエネルギーのあり方は大まかに二つの進む道があるそうだ。
1、高エネルギー社会
2、低エネルギー社会
考慮すべき点としては、現在世界各地で起きている深刻な問題の大部分は、エネルギー消費と絡んでいるという事。石油資源に代表されるように国際紛争は、現在も将来も、やせ細るエネルギー資源からの圧力と資源の不公平な分配に大きく関わっている。私達はエネルギー消費を少なくする事によってこうした紛争の緩和に間接的ながらも、寄与する事ができる一方で、エネルギー消費をより多くすれば紛争の激化に手を貸している事にもなる、と筆者は述べている。
その他にも、今、我々の社会は、大量生産、大量消費型モデル、GNP至上主義といった現代社会の抱えている大きなひずみがデンマーク分析を通して浮かび上がり、本質的な問題は何なのかを考えさせられる。

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