2010年7月9日金曜日

【ホンヨミ!】0709①ピカソの戦争〈ゲルニカ〉の真実【斎藤】

「ピカソの戦争〈ゲルニカ〉の真実」ラッセル・マーティン


本書はスペイン内戦のさなかで、いかにしてピカソのゲルニカが誕生したかについて述べられている。ピカソと言えば世界中の誰もが知る天才的な画家であり、もっともクリエイティブな人間だと言える。当然そういった資質は天性のものでもあるだろう。しかし、ものを生み出すことは、そういった才能のみでできるような簡単な事ではない事を痛感した。彼がこの絵画を製作した契機はスペイン反乱軍を支援するドイツ空軍によるゲルニカという街の爆撃を知った事だ。そのとき彼は怒り、その思いをキャンバスにぶつけた。

このように人生における経験とそれを裏付ける技術によってものは創造されるのだろう。


現代の企業では何かを製作する際に、十分にマーケティングを行いどういったものが広く受け入れられるかを考え抜く。そういった準備を丹念に行うことで失敗のリスクを回避できる。しかし、そこに作り手の感性が反映されていなければ本当に良いものは作れないのではないだろうか。これは当たり前の事だが、それを改めて痛感した。日常の中から何かを感じ、それを形にする事こそが他者の共感を得られる最も優れた方法なのかもしれない。


芸術と現代の商品開発を同じ土俵で考えることは適切ではないかもしれない。両者の性質は異なる点が多すぎるからだ。しかし、クリエイティブであろうとするならば、ピカソの人生、作品から学ぶ事は多いにあるだろう。

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