2010年7月9日金曜日

【ホンヨミ!】0709②ユニクロ思考術【斎藤】


本書はユニクロに関わる様々な人の経験、感性、価値観に焦点を当て、彼らのユニクロへでの仕事が書かれている。まず、驚かされるのは、各人のスタイルがまるで自由で、会社のルールに縛られていないと言う事だ。どの会社でもそうだが、何かの事業を始めるときには、必ず重要な決定を行わなければならない人物がいる。ユニクロでは、その人物のアイディア、分析が戦略に色濃く反映されていると感じた。


ユニクロと言えば価格の安さ、品質の良さが最大の特徴だと思うが、それだけではブランド力の確立はには不十分だ。あくまでお客様目線で商品を売ってこそ消費者に支持されるのだろう。このお客様目線というものを売る側の人間が身につけるのは簡単なようで難しい。「私たちはこんなに良い商品を作っているのに何故売れないのか?」と思いがちだからだ。しかし、それでは売れない事の責任を消費者に転嫁しているだけになってしまう。どうして売れないのかを、どうすれば売れるのかに思考転換する事が重要だ。そうならない為にも、特定の販売スタイルにとらわれない事が必要になる。実際、ユニクロが上海、ロンドン、パリに進出したときも日本での販売スタイルにとらわれず、現地のお客様の価値観、生活様式などを最大限に考慮し、その中で自らのブランドを売り込んだからこそ成功をおさめたと言える。近年の企業の方針同様に、ユニクロも海外市場を開拓しようとしている。その際に、日本で培ったスタイルであえて勝負する事と、その地域に合わせて適応することを上手く両立させる感覚を持たねばならないと思った。


だからといって、ユニクロに一貫した理念がない訳ではない。デザイナー、広報などの社員レベルでみてもそれは顕著だ。各自が美術、経営、マーケティングの分野でプロ意識が強く、それを発揮できる場としてユニクロを選んでいる。会社のやり方に会わせるのではなく自分の専門分野をどのようにして会社で最大に発揮するかそういった追求をしているのだろう。本書に出てくる人物もどれも非常に個性的であり、その価値観の一旦を知る事ができる点で本書は非常に優れているが、書籍の性質上各人の分量が制限されておりそれぞれの掲載ページが少ないのは残念だった。もっと一人一人を深く掘り下げて知りたいと思った。


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