2010年6月7日月曜日

0604ゼミ感想【斎藤】


 今回、僕はNCプレゼンテーターの役割だったのですが、山本さん、陽子ちゃんのサポートもあって無事終える事ができました。まず、二人に感謝したいです。

 NCテーマは前回のゼミの内容を踏まえて日本版フェアユース導入の是非について扱ったのですが、今回のディベートでは大きくまとめると法的安定性の問題、訴訟リスク、国際的な競争とイノヴェーションが焦点になりました。

 フェアユース導入関して最初に考えなければならないのは、日本は条文による規定を重視する大陸法を採用しており、アメリカの判例主義とは異なるという点です。これは著作権に関しても同様で、これまで著作権法30条の私的利用の為の複製に見られるように、例外に関しては個別規定を設けて対応してきました。法改正が現実の問題に追いつかないなど欠点がありますが、規定を設ける事で事前に違法か適法かの判断がしやすいメリットもあります。一方、アメリカでは違法かどうかの判断が難しい場合はとりあえず行動を起こし、問題が発生すれば事後的に法廷で公正さを判断する土壌があります。

 しかし、フェアユースを導入したからといって必ずしも訴訟のコストが莫大に増加するとは限らないと思います。なぜなら、判例は蓄積されていく事で、そこからある程度の違法と適法の判断をする事ができるようになるからです。日本に導入して間もない期間では判例が蓄積されていないため、訴訟を起こされた際の結果の判断は難しく法的安定性がないと言えますが、裁判を繰り返す過程でフェアユースというシステムが成熟してゆくのだと思います。導入の最初の段階では条文による個別規定と併用しながらフェアユースを導入することで、この制度の認知度を上げると共に、成熟させていく必要があると思いました。

 とはいっても、著作物を利用する側は、損害賠償請求されるリスクを考慮する必要があるため、これまでの日本の著作権法よりはハイリスクになってきます。これは、グレーゾーンでの著作物利用をする際には致し方ないと思います。そういったリスクを負ってでもイノベーションを起こしやすい社会の姿を求めるのかどうかが導入の争点になると思います。もし、新しいビジネスなどを始めにくいけれども安定した社会を求めるならばフェアユースは導入する必要はないのではないでしょうか。ただし、国際的なビジネス競争力が問題になることを考慮しなければなりません。
 
 また、日本の法律は条文で規定する大陸法系である事は先に述べましたが、著作権法の中のフェアユースだけが判例主義をとる事は、憲法をはじめとする日本の法体系全体のバランスを考えた際に問題にならないのかという疑問がわいてきました。そういった事は裁判システムにも影響すると思います。裁判官は著作権問題にだけ判例主義を用いて、その他の問題では条文か判決を下す事は裁判官や弁護士などの実務家の負担を増してしまうのではないでしょうか。こういった事から、フェアユースの制度的な面だけでなく裁判制度の改善についても考えていかなければならないと思います。

 著作権問題については明確に答えを出す事が難しく、私達が主体的に考え続けていかなければならない事は他のゼミ生とも共有している事です。そういった中で、フェアユース導入に関する現時点での僕の答えは、限定的に導入し最終的には適用範囲を拡大していくという事でした。限定的な適用ではフェアユースのメリットを最大限に発揮できないからです。個別規定を撤廃する事に関しては悩ましい問題ですが、判例が蓄積されるまでは併用していくといった柔軟性を持ては良いと思います。その際の多少の混乱は避けられないものとして、何事においても新しい概念の導入にはつきものであるとして諦めるしかないでしょう。ビジネスにおいてアメリカ勢が世界を席巻している中で、それに対向する為には日本でもイノベーションが起こりやすい土壌を整備していく必要があり著作権においてはフェアユースを導入して判例主義をとることも重要であると思いました。まだまだ勉強不足な部分も多いですが、これからも問題意識を持っていきたいと思います。

 次にゼミ全般に関する感想について述べていきたいと思います。先週のゼミ後に先輩との何気ない会話で金ゼミが楽しい?と聞かれました。その答えとしては、正直言ってまだまだ楽しめていないというのが現状です。それぞれの課題をこなすのに精一杯でまだまだ楽しさを感じる余裕がないからです。
 そんな中でも、最近の一週間の中で一番好きな時間が金曜日のゼミ後です。ゼミ後には反省の気持ちでいっぱいになる事や、やりきったという充実感に浸るときなど様々ですがそういった時間が心地良いからです。やはり、人間には慣れが大事で、時間とともに慣れていく事で様々な余裕が生まれてきます。考えてみたら一ヶ月前よりは今の方が成長できている気がします。楽観的かもしれませんが今週のゼミを終えて、一つ目の壁はなんとか乗り越えられたと自分自身を認めてあげようと思いました。



1 件のコメント:

  1. 私も去年は慣れてなかった中でも、金曜のゼミの後はすごく幸せな時間だった!
    心地良いって書いてあるのを見てすごくうれしくなりました。
    NCもおつかれさま。

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