2010年6月26日土曜日

【ホンヨミ!0625①】新聞社【長澤】

『新聞社 破綻したビジネスモデル』 河内孝(新潮新書)

この本を読んで私が感じたことは、安定した経営状態を保てていると思っていた新聞社の経営状態がとても不安定であるということです。
まずは購読者の獲得手段についてです。確かに日本では新聞を取る人が少なくなっていると言われていますが、それでも新聞を購読する人は沢山います。しかし、新聞社の数も地方紙まで含めると相当数になります。これらの新聞社がいかにして購読者を獲得するか、そのためなら手段を選ばないという事実に驚きました。特に購読者獲得のために新聞社各社が必死に行なっている「拡張団」の行為です。今の時代にもそのような手段が行なわれているのかと。洗剤や美術館のチケットをプレゼントする等の手法は良く聞きますが、脅して購読させるというのはあまりにもショックでした。
次に折り込み広告との関係についてです。販売店が本社からの補償と新聞代と折り込み広告で得られる収入の利害を計算して、その結果残紙が出たとしても折り込み広告からの収入を得るために多めの新聞を本社から仕入れるという事実にも驚かされました。確かに、普段新聞に挟まれている折り込み広告に宣伝効果は大いにあると思います。しかし、そのようにして出てくる残紙の量は莫大で、木材資源の無駄ではないでしょうか。これまで工業や産業が発達するとそれに比例するように環境に影響が出てきました。このままでは今回の新聞の問題もこれまでと同じ道を歩んでしまうのではないかと思います。まずは根本的に経営体制を改めるべきだと思います。
では、どのような経営体制をとればよいのでしょうか。活字離れが進んでいると言われており、インターネットの普及率も非常に高い現在であるからこそ、インターネットで新聞の情報を提供すれば良いのではないでしょうか。インターネットで情報を提供するのであれば、前の段落で述べたような残紙の存在もなくすことが出来て、木材の消費もせずに済みます。また、携帯でも読むことが出来るようにすれば、持ち運びも可能で軽量化にもなります。ただ、インターネットでの情報提供にも短所がいくつかあります。たとえば、既にインターネットではヤフーやGoogleのように情報を提供するサイトが新聞以外にも存在します。ということは、新聞をインターネットに移行した時に購読者が減る可能性があります。
新聞をインターネットに移行するにしても、紙媒体のまま存続させるにしても、経営体制を変えていかないことにはいずれ新聞社は破綻してしまうのではないでしょうか。これから新聞がどのように生き残っていくのか、新聞社から一方的に私たちに情報を提供するのではなく、私たち一般市民と相互関係を築き、購読者と共に経営体制について考えていけば良いのではないかと思います。

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