2010年6月26日土曜日

【ホンヨミ!0625②】電子書籍の衝撃【長澤】

『電子書籍の衝撃』 佐々木俊尚(ディスカヴァー携書)

iPadが発売された今、世間ではiPadの知名度が急に上がったように思う。しかし、キンドルはiPadに先行して発売されているわけだし、iPadはキンドルとの差別化が出来ない限り販売量を上回ることは出来ないだろう。では、両者にどのような違いがあるのか?私は正直キンドルもiPadもどのようなものなのか知らなかった。また、電子書籍など無くとも、紙媒体の本で良いではないかと思っていた。

「本を読む」という点では、キンドルの方が使い勝手が良さそうである。しかし、iPadには有利な点が3つあるという。まずは、多用途のデバイスであるということ。次に、iPhoneOSを使用しているため、iPhoneとまったく同じ画面デザインであるということ。そして、日本でも都心部を中心に普及しているiPhoneであるため、ユーザーにとってはiPadも使い勝手が良いということ。
一方でiPadには不利な点も3つある。まず、サイズ・重量・バッテリー持続時間などのスペック。次に、目が疲れやすいということ。そして、価格がキンドルに比べて高いということ。
このように一長一短であるため、決め手はプラットフォームになるという。
そして、プラットフォームとして市場を支配するために、以下の3つの要件が必要であると筆者はいう。
①多様なコンテンツが安く豊富にそろっていること。
②使い勝手が良いこと。
③アンビエントであること。
この3つの要件を揃えたアップルが、圧倒的なプラットフォームを確立したのだ。

そして、このプラットフォームのお陰で、プロ・アマチュアを問わず誰でも自分の書いた本を出版出来るようになった。手続きも簡単で、出版社を介さずとも個人が本を出せるようになったのだ。これによって出版業界が衰退してしまうのではないか、という危惧もある。しかし、これはとても画期的で素晴らしいことだと思う。個人的に執筆をして出版社に持って行っても、そう簡単に出版することは出来ない。本を誰かに読んでもらいたいと思っても、同人雑誌として売り出すしかなかっただろう。しかし、電子書籍として個人出版が出来るようになれば、今まで世の中に出て来ることの出来なかった才能のある人を見つけることが出来るかもしれない。このように、電子書籍にはただ本が読みやすくなるというだけでない利点があるということが分かった。

0 件のコメント:

コメントを投稿