2010年6月11日金曜日

【ホンヨミ!】0611①ウェブ進化論【斎藤】

 インターネットが登場して10年が経ち、更なる技術革新によりネットの向こう側の世界とこちら側の世界の関係性が変化し、リアルな世界に対するネットの影響力が高まっている事を前提にしてウェブ時代をどう生きるかが語られている。
 ウェブ2.0と言われる時代でどのような変化、イノヴェーションがあったのかを具体的にはグーグル、ロングテール、ブログ、オープンソース現象とマス・コラボレーション、などに言及しながらわかりやすく述べられている。基本的な論調はグーグルなどの行っているビジネスを行程するものであり、それに対する反対意見は少ないので注意が必要だと感じた。
 グーグルが世界中の情報を一元的に管理して私たちがそれを利用できることは確かに便利だ。しかし、グーグルがそのサービスを提供するにあたって自らを”世界政府”となぞらえていることに違和感を持った。例えば世界中の書籍を電子アーカイブとするグーグルの野望は、アメリカ以外の様々な書籍権利者から反発された。欧州では欧州委員会主導で電子図書館、ヨーロピアーナの構築が進んでいる。世界中の情報をアメリカの私企業が一元に管理できるシステムに欠陥はないのか。文化に優越性は無いと言うのはよく言われる事だが、実際に情報には強弱があると思う。英語で書かれた文献は検索に引っかかりやすいだろうが、それ以外のマイノリティー言語によるものは日本人である私達にはグーグルの検索を用いて探す事は困難だ。そのような状況に対応する為に、グーグルは翻訳機能を強化しているらしい。これは極端に言えば人間がこれまで行ってきた知の獲得を不要とする考え方ではないだろうか。
 どこかで賢い人々が情報を集積してくれ、それを活用するだけで良い。情報の有効性の判断は全てコンプーターが行い人間の作業がそこには介在しない。こういった状況の果てには映画『マトリックス』で描かれていたような世界が待っているのだろうか。
 やはり、ネットの世界はあくまでもリアルな世界に住んでいる私達によって利用されるものであり、ネットが私達が住んでいるリアルな世界に影響を与えて変えてしまうものだとは考えたくないものだ。日本の企業はハードの開発に力を入れすぎていることが指摘され、彼らはネットの向こう側の世界はあくまでも現実を活性化する存在でしかないと考えがちだ。もちろんグーグルやアップルのようになビジネスを展開する事は国際競争の中では必要であり、日本にはその力はない。しかし、私はどうしてもグーグルの社員が自らの会社を”世界政府”と賞することには抵抗感をいだいてしまう。

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