2010年6月4日金曜日

【ホンヨミ!】0604①『電子書籍の衝撃』【吉田】

『電子書籍の衝撃』 佐々木俊尚

昨今ますます注目を集めている電子書籍が社会にどのような影響を与え、今後どのように発展していくのかについて、音楽業界と比較しながら体系的な分析を行っている。
筆者の主張を要約すると、電子書籍は今後ますます拡大していくと同時に、図書も音楽と同様に「アンビエント化」していくことで、著者や発行年による区分は無意味になり、新しいより双方向的な新しい出版モデルになっていくという見解を示している。
具体的には、音楽がランキングやミリオンセラーといったパッケージではなく、嗜好によって選ばれるようになったと同様に 本もより嗜好が細分化していくだろうと予測している。その嗜好に応えるためにセルフパブリッシングが増え、それによって「書き手との360度契約」や「スモールビジネス化」をコンセプトにした新しいタイプの出版社が既存の出版社にとって代わるようになる。
本書は出版業界についての興味深い分析と予測を行っているだけでなく、ソーシャルメディアと書籍の融合などの新しい概念も示されており、電子書籍についての多角的な視点を与えてくれる良書であると感じた

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