2010年6月4日金曜日

【ホンヨミ!】0604①グーグル時代の情報整理術【斎藤】

 本書はgoogleの最高責任者CIOに就任していたダグラス・C・メリルが情報整理について述べているものである。内容は一般的に売られているような、情報整理のテクニックだけを紹介するものではなく、情報があふれかえっている現代において私達がどのように生きていけばよいかの指針を示しているものであった。
 ここでは、最も印象に残った二点について述べていきたい。
まず、一つ目は情報を収集する際に何が目的であるのかの設定をすることだ。圧倒的な情報量を前にすると、私たちはそれらの重要度を冷静に判断することができなくなり、結果的に効率性のある情報収集及び情報の選択ができなくなる。そこで、自分が向かうべき目的を常に認識していれば、途中で様々な情報に出くわしてもそれらの取捨選択ができるのだ。そういった視点が欠如していたら、どの情報も均質な重要性があるように思えてしまう。情報の収集の際に気をつけるべきは、重要なものを確実に取得することでもあるが、それと同等に不要なものを切り捨てていくことだ。確かに、僕自身もプレゼン資料を作っていて目的意識を明確にしないまま情報の収集やスライドの作成をしていると、だんだん論点がぼやけてきて結局何について問題意識を持っているのかわからなくなることが多々ある。こういったことの解決としては常に目的を認識する事だ。
 二つ目は、脳に過度の負担をかけないということだ。私たちは情報を記憶しなければならないと感じる強迫観念を持っている事が多い。それは子供の頃から植付けられており、記憶力が優れている事は、頭の良い人だというように信じている者も多いだろう。ここで本書に出てきたアインシュタインと電話番号のエピソードを紹介する。ある時、彼は記者から質問を電話でする為に電話番号を教えてほしいと頼まれた。すると彼は公衆電話の方へ歩いていき電話帳で自分の電話番号を調べて教えた。そして、電話帳に書いてある事を何故、わざわざ覚えなきゃならないんだと質問したという話だ。これが実話かどうかは定かでないが、この例は本当に自分が集中するべき事以外によけいなエネルギーを使うなということを示しているのだろう。私自身を自省してみても、確かに、本当にするべき事は案外少ない事が多い。それ以外の瑣末な事が視界に入ってくるから、実際以上に負担感を感じているのだ。
 この二点は最も基本的なことでありながら、実践できているひとは少ないのではないのだろうか。私自身、情報の多すぎる状況に辟易していた所なので、身の回りのことを冷静に見渡して真に問題とすべき事にエネルギーを注いでいきたいと思う。
 googleの最高責任者にまで上りつめた著者は失読症を抱えており、幼い頃はそれを悩んでいた。しかし、自らの工夫で情報を正しく整理し、それらを利用している。情報の多い現代において、私達自身も各自にあった整理術を身につけるべきだと感じた。

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