2010年6月1日火曜日

【ホンヨミ!0604①】ウェブ2.0は夢か現実か?【高橋】

ウェブ2.0は夢が現実か? 佐々木俊尚(著)

ゼミに入ってからウェブやネットに関する文献を読むようになって2か月ほどとなるが、今回初めてウェブにまつわる事件をジャーナリズムの要素を絡めて読むことができたと思う。本著にある「ウェブ事件簿」に私は強い関心を持ったが、その中でも特に、セキュリティ事故の責任の負い方の部分が興味深かった。カカクコムのサーバが外部からの侵入を受けた事件だが、本著ではカカクコムが侵入経路や手口についての情報を公開しなかったこと、そしてそのセキュリティの低さ故に侵入されたにもかかわらず完全に被害者というスタンスでいることを辛辣に批判し、セキュリティ事故そのものの責任の負い方について問題提起している。
これについて、著者は「情報の開示」を強く求めている。私自身この考えには強く賛同する。たとえカカクコムが侵入された被害者側であっても、実際に個人情報を盗まれた被害者が存在しているのに、セキュリティ対策は「最高」だったにもかかわらず侵入されたということはカカクコム側の責任は少なくともあるのである。それを潔く認め、二次被害を防ぐためにただちに情報公開することが大変重要になってくるのである。
個人情報の漏えいがネット社会の怖い部分の一つであるのは周知の事実であり、より一層のセキュリティが求められるが故に、同じようなことが他でも起こらないよう、二次被害を食い止める措置を講じるべきであると私は考える。
めまぐるしい技術の進歩とともに、それを扱う私たちの倫理観や非常事態における措置の仕方について再度考え直す必要があるのではないかと感じるきっかけになる本著だった。

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