『戦略的話術』
二階堂忠春・田中千尋 著(廣済堂出版)
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オバマのスピーチを題材に、話術のノウハウを語っている本。
「おお!すごい!こんなメソッドがあったんや!!」というものはないが(逆にそんなものがスピーチにあったらこんなに楽なことはないのですが笑)、体系だってスピーチの際に気をつけるべきこと、構想に加えてみるべきことなど基本を学べる本。
ゴール設定の上の逆算した内容や、刷り込み、メタファー、前提条件、否定語を肯定語に、ストーリーで語るなど、スピーチが得意な人は無意識のうちにやっていることではあるかと思います。
印象的だったのが、答えに空白を創り出すと相手は引き込まれるという部分。
その例としてあげられていたのが、下記のオバマの大統領選挙勝利宣言の際のスピーチ(だいぶ省略していますが)↓↓
〜今夜がその答えです。
その答えは〜〜〜が語っています。
その答えは〜〜〜の声が示したものです。
その答えは〜〜〜への気持ちへと導くものです。
今夜、この決定的な瞬間、この決定的な瞬間、この日この
選挙で成し遂げたことによって、アメリカに変化が訪れたのです。
最初に今夜がその答えと言っておき、聴衆に「ん?答えってなんだ?」と思わせておき、次の「その答えは」でもその内容がわからない。次の「その答えは」でもわからない。その次でも。そして、最後にやっとわかるという展開。
最初に「今夜、選挙で変化が訪れました」だと人々に結論は伝わるけれど、心に響かない。
そこにオバマのうまさがあると著者は述べており、その手法が
①テレビ番組でのCM前に登場シーンにモザイクがしてあって、CM後に流すことでCM中も注意をそらさないという手法や、
②ミッションインポッシブル2で、最初にトムクルーズが打たれそうになる衝撃的なシーンがあって、その後にそのことがなかったようにストーリーが展開され、最後にそのシーンの真相がわかるといった手法
と同じであると述べられていました。納得。
確かに「結果はどうなの?どうなの?!」と、気になりますよね。
引き込むスピーチにはやはり巧妙な構成やストーリーテリングが不可欠なようです。
でもこれはわかりやすいスピーチの基本中の基本、「結論から先に」と相反する手法なので、バランスを失敗すると、単なるくどい話になるかと思うので、そのバランスが難しくかなり高度な技術ではありますね。
機会があれば試してみたいと思います。
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余談ですが、今回はじめてしっかりとオバマのスピーチを読んだけれど、本当に言葉の並べ方や、文章の構成の仕方がうまい。
この本に載っていたのは一部なので、いまさらながら、ぜひ全文を読んでみたいと思いました。
2010年5月10日月曜日
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