2010年5月27日木曜日

著作権の世紀【栫井】

"オリジナル作品の経済的損失"という考えは、日米でどう捉え方が異なるのかをお聞きしたいです。
日本は二次創作がオリジナル作品に経済的利益を還元する場合もあるのですが(特にアニメ界の場合)、アメリカではそのような利益還元システムが実現される例はあるのか、気になりました。
また、日本においてもそのようなケースがアニメ以外の産業で活かされる見込みはあるのか、あるいは活かされることなく著作権の引き締めによってなくなっていく考えなのか、というところに興味があります。

先週、福井さんがいらっしゃると聞いた後に書評をアップしたので、意見や特に着目した点は変わっていません。
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著作権の枠組みが変化しつつある。
日本は従来、慣習を重視する文化が根付いていて、明確な法律がなくとも暗黙の了解でうまくいってきた。だが、ビジネスモデルが多様化し、法律のグレーゾーンが定められる必要性が出てきてしまった。著作権はビジネスと密接な関係にあり、さまざまな議論が交わされている。
著作権に関して、私自身はあまり無理矢理厳しく押えつけるべきではないように思う。
なぜなら、ひとつに法律は、どんなに議論を重ねても一律な正解が出ないものであるからだ。特に複雑なビジネス構図が絡む場合、事前に普遍的な枠組みを定めるのが可能とは思えないのだ。
も うひとつには、クリエイティビティの阻害である。二次創作が一次創作に付随する文化が強い日本では、これまで暗黙の了解とされてきた二次創作の著作権侵害 が完全に禁止された場合、コンテンツ産業の弱体化に繋がってしまうかもしれない。コミックマーケットに代表される同人誌文化からは、エヴァンゲリオンや涼 宮ハルヒなどに見られるように、時折一次創作に公認され出版されるようなケースもある。それらは確実に一次創作のメディアミックス戦略の一部として機能し ており、産業界の規模を拡大している。
アメリカのフェアユースの理念にも、「オリジナル作品に経済的損失を与えない」というものがある。もし二次創作が完全に禁止された場合、日本においてはむしろそのことが経済的損失に繋がる可能性もある。
コンテンツの二次利用・流用を法律で縛るよりも、逆手にとって経済的利益に変えてしまえば良いのだ。

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