2010年5月21日金曜日

【ホンヨミ】もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら【矢野】

ドラッカーの「マネジメント」が現在もなお価値ある経営のバイブルとして在ることは知っていたが、実際に読もうとは考えていなかったので、この本は非常にありがたかった。非常にわかりやすく、かつ楽しく「マネジメント」を知ることができた。「マネジメント」の良い点は、答えを提示しアドバイスをするのではなく、読み手に「自分の状況であったらこれをどう適応させるか」と考えさせるところにあると思う。例えば、「組織は顧客に感動を与えねばならない」という点。本の中で主人公のみなみは「自分がマネジメントする野球部の顧客は誰か」ということを深く考える。私にはこの考えるという過程がとても大切なように思えた。ここで単純に顧客=試合を見にくる観客、と短絡的に考えるのではなく、最終的に野球部のステークホルダーを洗い出すまでに、みなみはその一人一人に思いを馳せ、よりよい形で感動を与えられるようにした。ドラッカーのメッセージは抽象的ではあるが、読み手次第では可能性が何倍にも膨らむ。時代を超えて、国を超えて評価されるのはこの抽象的であることも所以の一つかもしれないと考えた。
また、特に印象に残っているのは、「組織の規模は最大でなく最適を目指すべきだ」という点である。これは、私たちの身近なところにも当てはめられる。例えば、メディアコムにも、私のサークルにも、一学年当たりの定員というのがある。特に私のサークルでは、入りたい人全員に入ってもらえばいいではないか、と考えてしまうのだが、確かに多すぎる人数では動きがとりにくくなる。にんずうが多いからその分成果も比例する訳ではないのだ。当然のことなのであろうが、改めてそのことを考えさせられた。組織の規模を拡大するのであればまず多くの人数を受け入れるだけの土台が必要で、それが十分に担保された上で初めて人数を増やしていけるのである。大きな組織にしたいならば、その拡大したい部分を新しい者に任せるのではなく、今いるメンバー自らが動いて土台を準備せねばならないのだと考えた。
普段このような組織経営について考える機会が少なかったので、良いきかいであった。組織というと、会社、企業というイメージが強いが、自分の身近なところにも生かしていけると思ったので、実践できれば良いと思う。

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