2010年5月27日木曜日

著作権の世紀 変わる情報の独占制度 【黄】

全体的に読みやすく、使われていた例も身近かつ記憶に残っているものが多かった為理解がスムーズにいった。
近年、あらゆるマスメディアを通してよく耳にする著作権。知っているようで知らない事の方が多い。普段何気なくやっているテレビ番組の録画だって「私的利用のための複製」という例外規定が認められていなければ違法とのこと。
著作権とは、文学や学術、美術、音楽、映像などの創作物について、創作者が一定期間独占できる権利のことを指す。この制度によって創作者の利益が守られ、さらなる創作活動につながっていく。
インターネットが整備され、膨大な量の情報が流れ込んできてから、我々だけでは、どれが著作権が守られるもので、どれがそうじゃないのか正直判断に困るものが多くなってきている。
100年もの歳月をかけて整備された著作権が現代社会とどのように関わっているのかを本書は展開している。
本書の中で、とくに興味深く読み進めたのは、まず第一章の“著作物とは如何なるものなのか”の箇所と、第三章の“模倣とオリジナルの間の境界”だと言いたい。
第一章は何が著作物と言えるのかを理解する基礎として非常に役立ったし、第三章においては、本書のタイトルを聞いた時、真っ先に思い浮かんだのが森進一さんの「おふくろさん」騒動だったため印象に強く残った。
第三章、そして本全体を通して思ったことは、著作権は、あっちを立てればこっちが立たない矛盾をはらんだ権利であること、そしてこの権利は主張し、獲得しないとならない権利なんだという事だ。
めまぐるしい勢いで情報化社会に対応していかなければならない著作権。本書は、情報の流通とその独占をどうなっていくのかを様々な局面からアプローチしている一冊だと言える。

0 件のコメント:

コメントを投稿