2010年5月25日火曜日

【ホンヨミ!】著作権の世紀【戸高】

福井健策著『著作権の世紀』

 梅沢和木という芸術家をご存知だろうか? 

 今回、この『著作権の世紀』を読んで、私は最も第三章の「多次的創作の時代」に関心を持った。
 昨今、ニコニコ動画やYouTubeなどで、マッシュアップ作品が溢れる様になってきている。
 このマッシュアップ作品(MAD)作品については、削除申請を頻繁に行う権利者もいれば、角川のように、その作品に「愛」があるのかどうかという基準を示し、公認マークを与えながら広告利用をすることで、その収益をプロシューマーと分かち合うという企業もありさまざまだ。

 このように1億総クリエイター時代が到来し、プロとアマの境目が曖昧な中で、コラージュなどを活用し、マッシュアップ作品で注目を集めているのが先ほど述べた梅沢和木だ。



 彼の作品はアニメ絵を切り取り、様々に組み合わせているものが多い。著作権的には限りなく黒に近いグレーなのではないかと思う。
 こういったマッシュアップや、日本の同人的文化はクリエイターを生み出すゆりかごであるため、また規模的には小さい、権利者から「おもしろい」と黙認されているのが現状です。
 しかし、今では同人活動の場が、紙だけではなく、先述のニコニコ動画等の動画共有サイトや、pixivなどのイラストコミュニケーションサイト等、デジタルの部分でも行われるようになり、「規模的には小さい」ということはできなくなってきた。(実際、梅沢氏の作品にも高い評価がなされる様になっています)
 
 だからこそ「デジタルの新たな著作権を考えるべきだ。」となっているのでしょう。
 僕的には角川のような、「愛」という曖昧な判断基準ではあるが、それが含まれていればそのマッシュアップ作品の公開を認め、商用利用することで、権利者と制作者がwin-winな関係を築ける様になればいいのではないのか、と思います。
 そもそも同人文化が、権利者から「おもしろい」と黙認されていたのも、そこには「愛」がある故ではないでしょうか。そうして黙認されていた同人文化から数多くのプロクリエイターが出てきたのも事実です。
 1億総クリエイター時代の今、権利者達は著作権と叫ぶのではなく、玉石混淆のコンテンツの波の中で、玉が石の中で埋もれてしまわない様、コンテンツを扱うプラットフォームを整理する、援助するといった姿勢の方が重要なのではないでしょうか。
 そしてさらなる日本の同人文化、サブカルの発展に繋げて行くべきだと思います。

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