2010年5月20日木曜日

【ホンヨミ!0521②】日本辺境論【高橋】

日本辺境論 内田樹(著)

本著は「辺境」というキーワードの下、日本という国の歴史から始まり、現代私たちが何気なく生活していて不思議に思わないことを指摘して日本がこのままではいけない、という警告を促す内容になっている。特に、私たちが当たり前のように思ってる内容はつまり社会の「常識」といなっていることを疑わなくなってしまっていることに起因する。

私が本著を読んで印象に残っているのはオバマ大統領の演説についてと、日本語の特性について著者が論じている箇所である。
オバマ大統領の演説は誰もが聞いても唸るくらい人々の心を刺激する効果的な演説であり、私はなぜ日本の総理大臣も彼のような演説ができないのか不満に思ったものだ。しかし、本著を読んで、オバマ大統領の演説にはアメリカ建国の歴史から始まり、祖先がいかにして「未来の子供たち(現代の私たち)のために」戦ってきたかを訴えかける内容であったりするため、そうした歴史の経緯がない日本にとってはなんとも効果のない演説なのである。感情に訴えかけるだけの歴史的経緯が日本にはない。なるほど日本人にはできない演説なわけである。
日本語の特性については、一人称が多数存在する日本語には使い方ひとつで印象ががらりと変わることが述べられていて、著者は英語で訳したものと比較して読者にわかりやすく説いていた。日本語の面白いところであり、また、同時に日本語がいかに相手を気にしすぎているかを伺うことができるだろう。

武道とは「敵に勝つこと」ではなく「敵を作らないこと」であるという著者の考えは新鮮だった。
かように、本著は普段私たちが恐らく見ないであろう視点から日本人というものについて説いてあり、外国との比較も行われていて、斬新な考えでいて説得力を持たせている。

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