2010年5月20日木曜日

【ホンヨミ!】0521 パラダイス鎖国 【黄】

パラダイス鎖国~忘れられた大国・日本~
 
海部 美和著

パラダイス鎖国。それは言わずもがな日本のことである。
かつて西洋諸国に対し追いつけ、追い越せマインドで活気に満ちあふれていた姿はいまやもう見受けられない。洋楽ブームは落ち着き、ハリウッド映画と肩を並べる邦画市場、海外にわざわざ出向かずとも手に入る輸入品の数々。街中は清潔だし、食べ物だって和、洋、中のみならず、たいていのものは食べられる環境が整っている。国内市場が比較的大きいこともあり、今日本は徐々に世界から忘れ去れつつあり、また同時に日本も世界を忘れつつある状況にある。
このような状況の中、筆者は今の日本を以下のように特徴づけている。
1、世界2位の経済規模を持ち、その地位は現在も安泰
2、アメリカ同様、国内市場が大きい
3、アメリカでの存在感の低下
4、日々の生活で実感する「豊かさ」指標は欧米諸国をしのぐ水準を保持
5、国民全体に適用される基本的なもの以外の整備や変化が進まない
6、90年代以降の経済停滞から脱しきれていない
7、財政赤字、累計債務、政府部門の効率の悪さが際立っている

このような現状を踏まえたうえで筆者は大々的な改革を進めるというよりは、小さい変化の積み重ねを提唱する。
私もこの意見に同意したい。今、無理なしわ寄せを作りながら強行突破するよりは、筆者の言うように除々に新しい時代に適応する体力を蓄えることが賢いだろう。
さらには、がむしゃらに変化を進めるのではなく、アメリカ等の先例を参考にしながら進めていく事もスマートな変化に必要不可欠な点だろう。
ここで筆者は言う。混沌を恐れてはいけない、と。
何かを達成するためには、混沌は避けて通れない道だ。ここをどうクリアしていくかに今後の日本の未来がかかっているのではないだろうか。

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