2010年5月16日日曜日

【ホンヨミ!0521①】電波利権【高橋】

電波利権 池田信夫(著)

本著は歴史的観点を含めつつテレビ局(NHK)と政党の関係、IT企業による民法放送局買収騒動(ライブドアvsフジテレビ)などを丁寧に解説している。NHKがなぜ民営化されないのか、そしてなぜテレビ局は通信と融合することに消極的なのかが議論されている。
個人的には今後の通信と放送の融合についてが興味深かった。"Everything over IP"から始まり"IP over everything"へと発展していくという著者の考えはIPの放送のあるべき姿というものを提言している。通信と放送の両業界双方のメリットになるwin-winを達成することができたら視聴者にとってもベストなものができるだろう。それをまだ模索している段階ではあるが、少しずつテレビ局による導入が始まりつつあり、完成型とは言い難いが限りなく進んでいっている。著作権法が大いに絡んでいる問題で当初はIP放送は放送ではないと受け入れに否定的だった日本だが、海外では広く普及されている。
さらに驚いたことは、地上デジタル放送に日本が踏み切った経緯だった。NHKが20年の歳月をかけて開発したMUSEの存在を知らなかったこともあり、それが無駄になって今地上デジタル放送に移行していることを知って日本がいかにアメリカに強い憧れを抱いているかを改めて知った。
iモードが普及していった経緯もなかなか興味深かった。空いた事業を埋める制度から始まったものが空前のブームを巻き起こした。棚からぼた餅、とはこのことなのかと思った。

電波とは何か、一体誰のものなのか、何のために使われるべきか…。
電波開放を提言する本故に電波にまつわる包括的な知識を得ることができる内容だった。

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