2010年5月16日日曜日

[ホンヨミ!]0514①電子書籍の衝撃[矢部]

電子書籍の衝撃 本はいかに崩壊し、いかに復活するのか? 佐々木俊尚(著)

電子書籍については、この本を読めば全てが分かってしまうといっても過言ではないほどの良書だと思う。

電子書籍が普及すると、出版文化が崩壊すると、懸念する人たちがいるが、それは間違っていると思う。電子書籍には、ひとつのデバイスで簡単に持ち運びできるという「使う」という点からの最大の利点がある。他にも、一般の紙書籍に比べて、利点はたくさんあるのだが・・・。(安い、買いやすい、etc)その最大の利点があるからといって、紙書籍を買わずに、全ての本をひとつのデバイスに押し込めることはないと私は思っているのである。

単純に紙で買いたい本はこれからも人間の心には残るであろう。例えば、実物として、手元に残しておきたいほどの、ベストセラーの本は一冊は紙書籍として持っておきたいという気持ちがあるであろう。
他にも、写真や画像中心の本はどうなっていくのであろうか。写真集というものを、IPadやkindleで見るというのだろうか。なぜか、違和感を感じる。それはまだデバイスに慣れていないからというわけではないと思う。私的意見でこれを考えると、まず写真というのは、カメラで撮ってそれを現像して、写真という実物で手元に届く。(最近ではデジカメで撮った写真をPCに入れてPCで見る人もいるが・・・)写真集というのは、その実物の写真を拡大化してまとめたものであり、電子に通して見ると写真集としての拡大化して、まとめてある本という価値が失われた、ただの一枚の画像になってしまうのではないか。電子で見るいうことは、どこかネット上から拾ってくることも可能であるというとても、紙に比べて貴重性の面で劣ると思う。

このような事例はマンガ然り、新聞然りで、お互い電子と紙の衝突はある。
しかし、出版文化そのものが崩壊、破壊されるわけではないのである。そんな簡単に15世紀の活版印刷術が発明されたころからの長い歴史が覆るはずがない。電子書籍によってこれから劇的に変わっていくのは、本の流通と読まれ方である。

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