2010年5月14日金曜日

ホンヨミ!0513①質問力【岡本】

『質問力』 斎藤孝

社会が高いコミュニケーション力を求めるようになったのと裏腹に、全般的にコミュニケーション力は低下しているという。
その改善方法として、筆者は「聞く力」を磨くという考え方を、否定こそしないもののやや消極的なものと捉えている。筆者が重視するのはむしろ積極的に「訊く力」だ。
質の高い質問を常にしていくことは確かに難しい。TPOによってそれが出来ることもあれば出来ないこともある。著者とてあらゆる場のあらゆる場面で質の良い質問ができるかというとそうではないだろう。

ただ、「全ての質問が」そうではないにしろ、良い質問をする「傾向のある」人とそうでない人というのは明らかに分けられる。これは実感としてそう思うのだが、それが「質問力の高低」に起因するものだとしたら、なんとなく納得がいく。

本書では例えば以下のような質問力向上メソッドが述べられている。
場つなぎの質問ではなく、自己の向上の手段として質問するというスタンスをまずは持つこと。
ディスカッションの聴衆となり、「ディスカッションを支配する問いを誰が発しているか」意識しながら見ること。何回かこれをやることで、実際に自分が議論をした時に対話の波に飲まれない客観的な目線を持てるようになる。

あとは実際の著名人同士の会話から「これはいい」というものを著者が多く提示してくれるのだが、これは必ずしも自分の思う「良いコミュニケーション」とは一致しなかった。これに関してはやや独善的な部分を感じざるを得なかった。著者の言わんとすることは分かるのだが。

会話はキャッチボールとよく言うが、経験世界というグラブの真っ正面にボールを投げ込むことを意識できていたか。そう考えると反省が多かった。

自分を高めるための質問力。或いは相手に甘く見られないための質問力。これから社会に出るという大学生にこそ、求められる力なのかも知れない。

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