2010年5月7日金曜日

【ホンヨミ!0507①】テレビ進化論【岡本】

『テレビ進化論』 境真良

「放送と通信の融合」というこの頃やたらと耳にする(特にメディコムにいると…)ワード。その一番の課題が、結局のところ「展望がまるっきり不透明」に集約されることに驚きを覚えた。
「放送と通信の融合」がようやく実現の可能性を帯びてきたという段になって「じゃあ具体的に何をしよう?何が出来る?」と色々な人が様々な方法を考え始めた。一見滑稽にも思えるこの状況だが、あらゆる発明には先の見えないスタートがある。それだけ新しいことをやろうとしているのだ。
次に興味深かった部分について。帯にもある「テレビの次」とは具体的になにか。筆者はまずアクトビラを家電業界の試みとして紹介している(youtubeについてもかなりスペースを割いているが、長くなるのでここでは省く)。技術的にはもちろんのこと、家電、電気通信、テレビといった産業が同盟を組んだという意味でもアクトビラは新しい。違法コピーの温床であるパソコンと闘うため、今後業界を横断した試みは加速していくだろう。
アクトビラでも既に出ている問題だが、そうなると各業界が「同盟にありながらいかに自らの利益を拡大させるか」を考えるようになる。やはりボランティアでやるわけではないから、そこは各業界の利害関係の中でやれること・やれないことが出てくる。目指すのは現状打破、でもわが身も大事。だから結局は足並みが揃わない…という構図が何とももどかしい。企業間であったり省庁間であったり、足並みが揃わないことが製品や制度の足かせとなっている事例が数多く載っている。それがビジネスである以上、みんな仲良くというわけにいかないのは難しい。
テレビ進化論とありながら実際にはかなり広範に「ギョーカイ」について言及があり、中でも特にコンテンツ業界を俯瞰できる内容(非常にタイムリーなことに)となっている。前回のNCについても理解が深まった本だった。

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