2010年4月30日金曜日

【ホンヨミ!】0430②Made to Stick アイディアのちから【矢野】

「Made to Stick アイディアのちから」チップ・ハース (著), ダン・ハース (著), 飯岡 美紀 (翻訳)

自分の話を人の記憶に焼き付ける(Stick)にはどうしたらいいか。
この点について、例をふんだんに用いて実に分かりやすく、面白く書いている。
本を通して伝えたいことと、この内容の書かれ方が矛盾していないところが良い。
筆者のうち一人は心理学を専門としているということもあり、説得力も十分だった。

この本では以下の6つの条件(頭文字をつなげてSUCCESsの法則)をクリアすることで、他人に伝わりやすく心に残るアイディアになるという。
(1)単純明快である(Simple)
(2)意外性がある(Unexpected)
(3)具体的である(Concrete)
(4)信頼性がある(Credible)
(5)感情に訴える(Emotional)
(6)物語性(Story)

特に印象的だったのは、地域重視の新聞社デイリーレコードが新聞をより多くの人に見てもらうにはどうしたらよいかという問題に「人名、人名、とにかく人名」というソリューションを出した、という話だ。地域住民全員の名前を新聞に載せるのだ。一見安直なアイディアではあるが、確かに自分だったらその新聞を見るだろう。非常に面白い。もし私たちが書いているブログやSNSの日記でも個人名を出せばその書かれた人はかなり高い確率でコメントをくれるだろう。そう考えた。

また、(5)感情に訴える の章の中で、「自己利益に訴えることが大切」とあった。
しかもそこでポイントとなるのは、自己利益というのはマズローの欲求段階説でいう底辺の部分ではない、ということだ。
私たちは兎角他人が欲求のピラミッドの底辺にいると考えがちなのだという。
勉強嫌いの子に数学を学ぶ意味について、「将来食に困らずに生きていくため」と教えるより、数学を学んだ後の未来の可能性を提示する方が効果的である、ということだそうだ。
確かにその通りだ、と思った。
私たちは、自分本位で、また自分の都合の良いように考え解釈してしまうことが多すぎる。
この本を通して人に何かを伝える時、人の気持ちになるということがいかに大切かということがよくわかった。
また、佐藤尚之氏の著書「明日の広告」にも同じ気付きを得られるような内容があったのを思い出した。
自分が知っていることや自分の中で出来上がっているものがあったとしても、伝える方法によっては、その可能性が膨らんだりしぼんだりする、ということを強く思い知らされた。
私も今後この6つの方法を日常やプレゼンで生かしていきたいと思う。

最後に巻末はこの本の大ファンであるという勝間和代さんの解説があり、非常に高く評価している。
私自身も本当に読んでいて興味深く楽しく読めたので、是非皆さんにも読んでいただきたい。

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