2010年4月29日木曜日

【ホンヨミ!0430②】知的複眼思考法【栫井】

知的複眼思考法/苅谷剛彦


複眼思考法とは、ある問題に対して多面的な見方をする考え方のこと。
何かの正解を得たいと思ったとき、ただ知識を丸呑みするだけでは本当に得たいものは得られない。常識を鵜呑みにせず、自分から答えを見つけ出しにいく姿勢を持つことが大事なのだ。
とはいえ、どうすれば新たな視点を持つことが出来るのか。
そのための方法のひとつとして、本書は関係論を用いることを挙げている。
関係論とは、問題をそれ自体だけで見るのではなく、問題に内包されている人・モノ・環境との関連の中で考えるやり方だ。プロセスに含まれる関係性を確認しないで、数字や理論の一人歩きを許してしまってはならない。
堅い議論のときにも使えることだが、もっと身近なアイディアを考えてるときにも使える考え方だと思った。問題意識・「こうしたい」というビジョンを分解して組み上げたアイディアとそうでないものでは明らかに強さが違う。

また、かねてから疑問に思っていたこと、物事を概念化した後の使い道についてもすっきり整理出来た。概念から仮説を立て、一見関係なさそうなケースに当てはめてみることで新たな角度からの検証・未来予想が出来る。
去年の研究発表で指摘されたことはこういうことだったのではないかと思った。去年はフレームワークを作るところまで上手く持っていけたので、今年はプラスαここを目標にしたい。
物事の本質を掴み、類似した新たな問題にそれを適用してみることで、フレームワークは本当の意味を持つのではないかと思う。上手くアナロジーを使えるようになりたい。

そして本書にて複眼思考の例として挙がっていたのが、マックス・ウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」だ。
これは私が社会学専攻の試験を受けたとき、テスト範囲に提示されていた本の中で一番面白いと思った本だ。
お金にまみれた資本主義精神は、実は一見最も対立するような宗教の倫理に始まっていた。
常識を疑い新たな視点を導入する社会学的手法を、もっと見直し学ばなくてはならない。

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