2010年4月30日金曜日

【ホンヨミ!0430①】なぜ日本人は学ばなくなったのか【長澤】

『なぜ日本人は学ばなくなったのか』 斎藤 孝(講談社現代新書)


かつて「日本人」=「勤勉」というイメージが疑われることはなかった。私たち日本人自身もそう信じて続けてきた。
しかし、現在「勤勉なる日本人」は神話と化した。これは生まれつきの能力や知能指数が下がったというわけではない。「学び嫌いの日本人」になってしまったのである。
何故、向学心を持って自ら学ぼうとしないのか。何が原因なのか。背景は何なのか。

まず著者は日本人が学ばなくなった原因として「リスペクト精神を失ったこと」「やさしさ思考が広まったこと」「若者たちがアメリカ化してきていること」を挙げている。
リスペクト精神を失った原因としては、現代の若者が教師や親に対する尊敬・感謝の念の喪失が考えられる、と著者は述べている。そして、教師への尊敬・感謝の念の喪失から来るのが、世間をにぎわせている「モンスター・ペアレンツ」である。確かに、自分自身を例にとっても教師や親に対する尊敬・感謝の念が薄れてきているような気がした。
やさしさ思考というものは、実際に私も感じているものであった。(私も含め)最近の若者が「これだからゆとりは…」と言われる「ゆとり教育」というものもやさしさ思考から来ている。また、(やはり私も含め)「最近の若者は本を読まない」と言われるのも同様で、昔に比べて知的書物の読書習慣が殆どないのである。
アメリカの影響を受けて日本人が学ばなくなったという考えは、なかなか自覚し難いようだ。アメリカはもともとヨーロッパの植民地として誕生した。彼らを支配してきたヨーロッパの文化に対して「ノー」を表明し新しいものを作り出していくことがアメリカ化であるとすれば、それが日本人に影響を与え一般教養というものに対して「ノー」を表明するようになってしまったのである。しかもアメリカ文化の優れた部分である「フロンティアスピリット」や「インディビジュアリズム」は導入せずに…。

かつての「勤勉」というイメージからは程遠くなってしまった現在の日本。「日本人」=「勤勉」というイメージを再構築するためにはどうするべきなのか。学ぶことを生きがいとしてきた先人に対する憧れを感じて、自分も学ぶことに楽しみを覚えることで、次の世代へと「学ぶ心」が受け継がれていくのではないか。
私はとにかく向上心を持って沢山の本を読もうと思う。

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