2010年10月31日日曜日

[1029ホンヨミ!①]賃労働と資本[矢部]

賃労働と資本 カール・マルクス(著)

マルクス経済学を学ぶ上で、有名な「資本論」ではなく、この本を手にした。数字的に分析するというよりは、論理的思考の含蓄されている内容で、分かりやすい本であった。

 「労賃は、労働者によって生産された商品における労働者の分け前ではない。労賃は資本家がもって一定量の生産的労働力を買い取るべき、既存の商品の一部分である。」
つまり、労働者がいくら頑張ったからといっても、それによって上昇した収益の一部が労働者のものになるわけではないということである。
 確かにこのような一節を読むと、果たして今どちらが上下にあるかというのは、グレーな感じがする。何も違和感なく過ごしてる、資本主義社会。ブルジョア観念のある階級的社会は本当にこの社会の理想像なのであろうか。マルクスがプロレタリア社会主義革命をめざす心情も分からなくもない。社会上に支配的なイデオロギーが蔓延すると、それは一部の社会にも階級的イデオロギーももたらす。資本が少ない状態にあって、苦しいときは労働者もそれ相応にたくさん労働して、苦しい気持ちを共にするというのが常識となっている資本主義は果たして良いものなのか。資本家が優位に立ち労働者が劣位の資本主義構造は崩壊するべきだ。
 現在ではその立場が逆転したかのように思える資本主義であるが、ここがまたも違うと僕は思う。今は、資本主義的民主主義だ。これは実に危険な社会の状態にあるといえよう。なぜならば合理的無知という、社会を動かすのはインテリゲンツィアにのみ委ねられる現象が起きているからだ。これを打破しなければ未来はないだろう、しかし民主主義が一番平和ということもあり、何もできないのが実状なのだが。

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