2010年10月2日土曜日

1001ベーシック貿易入門[矢部]

ベーシック貿易入門 久保 広正(著)

トレードを中心としたテクニカルな一般知識的な経済学を知るうえでは、分かりやすい本であった。内容が実務的方向に偏っていたのは少し、浅い大学生としては、難しく感じられるところもあった。しかし広く浅く経済学を知るうえでは、良いと思う。2005年に書かれたもので、1950年あたりからグローバリゼーションした現代の(日々変化しているが)貿易の実態を分かることができた。その中で最近の事象と照らし合わして、注目した点をあげる。

「地域統合について」

EUやASEANなど世界貿易では1980年代以降たくさんの地域統合が起きている。これは石油危機や固定レート廃止などで地域主義が崩壊したため、保守的なナショナリズムが各国に蔓延し、経済停滞が起きるので行われていることだ。そこで果たしてこのままで世界の貿易は円滑に活発化するのかということだ。地域統合は、EUを例にとると、関税廃止・区間移動自由などたくさんのメリットがあるように思われるが、経済原則という神の見えざる手的なものが働いていない事実が浮き彫りにでてくるのである。ナショナリズムにまかせて非自由貿易をすれば、ある国が莫大に儲かり、ある国は淘汰されていってしまうこともある。しかし、地域統合をしてもそれは、統合して+な影響をもたらすのは10年20年が限界ではないのか。最近のギリシャ危機はまさに、ずさんででたらめなギリシャという国がユーロ圏全体に影響を与える形となっている。(この場合は前政権の隠蔽が発端だが、どちらにしろ国自体がゆるいのだろう)ユーロ経済圏の秩序維持ということでユーロは様々な施策をしてる。とても大変だ。しかし、もし地域主義だった場合は、それはそれでギリシャが没落に進んだとも考えられるのでユーロという地域統合があってよかったといえるのも確かである。地域統合は国同士の事柄である。世界の国同士が良好な関係でやっていかなければならない。しかし、「地域統合のような良好関係は10年20年が限界」ということを裏付けるかのように、日本と中国の「戦略的互恵関係」という言葉を最近、とても多く耳にする機会があり、不安になる一方だ。

0 件のコメント:

コメントを投稿