2010年6月8日火曜日

【0604ゼミの感想】イノベーションって何だっけ【岸本】


 NCフェアユース。何となく幕末の治外法権、不平等条約改正運動の話みたいだなあと思ってしまいました。(正確なアナロジーではないのは承知の上ですが。)

 日本版フェアユースの話の背景には、(ビジネスやあらゆる分野での)グローバル化とインターネットビジネスの特殊性があるように感じました。
 Google Book Search問題の様に、グローバル化が進むことでアメリカ企業がその他の国へ干渉しても、その逆が起こり得ません。また、インターネットビジネスではネットワーク外部性が存在し、最初に多くのユーザーを囲い込むと有利になります。そのため、アメリカのIT企業が現在世界の産業をリードしている現状です。
 国際競争の観点からするとアメリカ企業に対抗するには同じルールの下で闘っていく必要があります。そのため、短期的には法的安定性のない日本のフェアユース導入ですが、長期的に国際競争を行う上では現時点から徐々にアメリカ式の法体系に対応していく必要があるので、導入すべきであると考えられます。

 イノベーションとは言葉の定義にもよりますが、沢山の人々を惹き付けていくことが前提にあると考えます。そのため、潜在的なイノベーションを早い段階で権利関係云々で潰すのではなく、フェアユースによってより多くの人々のニーズを満たすか(言い換えればより良い暮らしを提供するか)と市場に信を問うてから判断するため、イノベーションを重視するのであればフェアユースを導入すべきなのではないでしょうか。

 また、先生の既得権に対するmindsetの変化の話は興味深かったです。日本ではどうも未だに「お上の言うことが絶対」みたいな風潮・制度が残っているために、あまり既得権重視による「現状維持」の状態に対する疑問符が湧きにくかったように感じます。これもグローバル化、あるいはフラット化の中で人々の意識が変化したために、変化が生まれつつあるのではないかと考えます。

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 NC2本目は3Dでした。今回グループワークで3Dを扱う上で、3Dの規格、あるいはどのメディアで3Dを用いるかという点を指示してくれるとよりいっそう具体的な提言に繋がったのではないかと感じました。実際、映画館と、アトラクションのような業務用のものと、家庭内の機器では、それぞれのニーズや実現可能性が異なってきます。一口に「3D」を普及させるといっても様々な切り口が考えられるので、こうした具体的な落とし込みが必要だと感じました。

 で、実際テレビで、ハイビジョンやらワンセグやら地デジやらを考えたときに、あれはユーザーのニーズというより、業界団体と官が主導となって進んでいたように感じました。ではユーザーのニーズを満たす形で3Dは普及しないかと言われるとそれも言い切れないと思います。
 3Dの普及の壁は(様々な規格にもよりますが、ここではオーソドックスなあのメガネの方式を考えます)メガネという煩わしさと長時間の視聴は疲れるという点にあります。では短時間でメガネの煩わしさが感じられない分野は何かと考えると、ゲームが一番ではないかと考えます。ここではWiiやiPadを想定しています。私たちの一般的な感覚ではゲームはコントローラーを通じて操作するにもかかわらず、コントローラーを持たされている感覚はあまりありません。ゲームをする上で、「没入するためのアイテム」としてコントローラーを用いています。これと同様に3Dに対してもメガネが活かせるのではないかと考えます。それに3Dは体感ゲームとの親和性が非常に高いと感じます。そのためWiiやiPadのようなハードを具体例として挙げました。
 もちろん、いくつも留保すべき点はあります。開発費がますます増大する恐れがあるのが1つ。また、使い勝手、ユーザーの利便性を追求することが重要です。過去任天堂はバーチャルボーイというハードで3Dに取り組みましたが、使い勝手が悪くこれは失敗に終わりました。あくまでユーザーの利便性、伝達表現として必要だから3Dを用いるという必然性を備えることで普及に繋がると考えられます。

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 今回の2つのNCでは共にイノベーション、いかに新しいビジネスモデルを創出し、製品やサービスを普及させるかという話が話題に上ったように感じます。「イノベーションって何なの?世界を変えるようなすっごい発明は、エジソンみたいな100年に1人の天才がそれこそ99%の努力と1%のひらめきで生み出して、一気に広まって世界をガラッと変えちゃったんでしょ?」という方にはぜひ『イノベーションの神話』という本をオススメします。
 この本では私たちがつい抱く先入観を丁寧に解きほぐし、より正確なイノベーションについての理解を説明しています。ちょっと歴史学めいてはいますが、語り口が非常に丁寧かつ分かりやすいのでオススメです。

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